50歳を区切りに完結させようと決めた

──若いころから死を身近に感じていたようですね。TRUMPシリーズも、すでに完結させたい構想をお持ちとお聞きしました。

 僕の手で終わらせることは意識しています。38歳のときハードワークがあまりにキツくて心身ともにボロボロになって、これはもう長生きはできないだろうなと腹を括(くく)りました。劇作家として現役でいられるのが50歳までだと仮定すると、その時点からの残りは12年、意外と時間がないなと思いました。だからTRUMPシリーズも含めて、僕が担当させていただいている舞台はこれからすべて幕引きに向かって進んでいくはずです。

 今年47歳になるので、あと3年ちょっとですべてに決着をつけるのは難しそうではあるのですが。諸々の完結は50歳を少し過ぎてからになりそうです。もしそれ以降もまだ生きていれば、残りの余生は自分が心底やりたいと思える作品だけを好きなようにやってみたいですね。

──平均寿命が延びていくこの時代に、すごく割り切った考えに感じます。

 単純に今も忙しいし、「もう限界だ」と思った38歳のときからさらに体力も気力も落ちていますから(笑)。毎年、新作の脚本を5本ぐらい書いてそれを演出して、そのすべてをクオリティの高い作品にしなくちゃいけない。ヒットもさせないといけない──みたいなプレッシャーを背負いながらやってきたので、そろそろ解放されてもいいかなと。舞台『刀剣乱舞』も、初演からかかわらせてもらっていますが、どこかで区切りをつけるときがあるかなとは思います。

──それは舞台を観てくれるファンへの責任、という意味合いもありそうですね。

 そうですね。例えば僕が担当させていただいているKステ(舞台『K』シリーズ)では、最終作の台本もすでにできているのにまだ上演できていないんです。応援してくださっているファンのみなさんに届けられない申し訳なさがあるので、どの舞台もそういった後悔を僕自身も、ファンのみなさんも味わわないようにしなければと思います。ちゃんと終わらせられないっていうのは悔しいんですよ。

末満健一さん 撮影/有馬貴子