コロナで仕事がすべてキャンセルになり、収入がゼロに

──先ほど、歌手活動1本でやるようになった後、大変な時期があったとおっしゃっていました。それは、新型コロナウイルスの影響ですか?

「そうですね。僕がサラリーマン生活を辞めて、再スタートを切ったのが2019年。実は同じタイミングに、エイベックスと結んでいた専属契約も解消し、個人事務所(フリー)として始動したところだったんです。

 Yahoo!ニュースに“木山裕策エイベックスから独立”という記事が2019年12月1日に流れたんですけど、その下のほうに、“中国で恐ろしい病気が……”というような見出しの記事が流れていたんです。

 そのころから“日本にも来たら、もう終わりだ”と思っていたら、年明けには日本でも猛威をふるうようになってしまったんです。

 独立前には、仕事が途切れないように1年先までコンサートや講演会の予定を入れていたんですけど、4月には緊急事態宣言が発令され、仕事が一切なくなりました。

 僕も考えが甘かったなと思ったのは、2人目と3人目の子どもがまだ大学生だったんです。それもふたりとも私立の大学に通わせているから、教育費が年間に数百万円かかってしまいます。“歌いたい”と独立したのに、当時コロナ禍が5年続くといわれていて、今後どうしようかと真剣に悩みました。

 最初は“会社員に戻ろうか”と頭をよぎり、お世話になっているキャリアエージェントの担当者に何度も相談しようと思いました。でも立ち止まって、やっぱりいましかできないことをやってみようと、新しいチャレンジを始めることにしたんです

YouTubeの活動がファンやアーティストとの縁をつなげてくれた

──どんなことを始めたんですか?

「YouTubeです。仕事もゼロになり、やることがなくなってしまったので、自宅でできることはないかと考えたときに、“こんな暗い世の中、歌の力を信じて何かやってみよう”と思い、緊急事態宣言が出てしばらくたった4月11日に、そこから60日間『STAY“home”』というテーマで、歌を配信しました。

 最初は1日1曲だけだったのですが、歌う曲が増えたり、ファンの方の質問に答えたりしていく中で、いろんなアーティストさんが“一緒にやりましょう”とコラボしてくれるようになり、少しずつ人の輪が広がっていきました。

 ファンの人たちもチャットでメッセージを送ってくれて励まされました。実際、この配信をきっかけにファン同士が仲よくなり、今では一緒にコンサートにも足を運んでくださいます」

多彩な才能のひとつに「切り絵」もある。『有吉反省会』(日本テレビ系)に出演時披露し、話題に