ノートに書いたあの日の夢は、いまも日々更新されていく

──さらに新しい夢ができたのですね。

 はい。同世代の中には、“子育て中だからライブに行けない”とか“結婚したからやりたいことができない”と、悩む人もいます。難しい状況だと思いますし、私も以前は“そうだよね”って思っていました。

 でも、音楽活動を続けながらいろんな方と出会ううちに、お子さんを育てつつ自分の夢もかなえたり、キャリアを築いている人もたくさんいることに気づいたんです。自分のいる環境とか年齢に縛られて、やりたいことを手放すのはもったいないですよね。

 私は幸運にも、親や友達から「もういい歳だから、やめたら」と言われたことはありませんが、やっぱり「まだやってるの?」という無言のプレッシャーを感じることもありました。そんなときは、気づかないふりでスルーするのがいちばん(笑)。

 そういう鈍感力も、ときには必要かもしれませんね。だって、誰でもない自分の人生だし、自分で納得してないうちは行けるところまで行ってみるべきじゃないかなと思うんです。

 とことんやって夢がかなえば最高ですし、仮にかなわなくても後悔は残らないと思うから。恋愛だって元カレを引きずったままじゃ、次の恋はうまくいきませんよね。燃え尽きるまでやり切った後に、すとんと腹落ちすることもあると思うんです。

──では、最後に今後の夢や目標を教えていただけますか。

 先ほども言ったように、私には心強いチームができました。そのおかげで、夢がかなっていく喜びを感じていますが、だからこそ自分が本当にやりたいことに対していままで以上にしっかりと向き合って、ブレずに歌い続けたいですね。

 私の場合は特に、SNSをきっかけに知っていただくことも多く、ありがたいことですが、「○億回再生」という文字を見ても、あまりに桁が大きすぎて実感できない部分もあるんです。

 それよりは、電車に乗ったときに偶然近くに座っていた男の子たちが私の歌を聴いてくれていたり、街中で声をかけていただける瞬間が何よりも尊くて。実感のある一人ひとりに対して、ていねいに歌を届けることを大事にしたいですね。

レコーディングで使用する歌詞カードに有華さんがメモを書き込んだもの 撮影/松島豊
ファンとの距離感はまるで共に思い合う友達のよう。これからの活躍が楽しみでならない 撮影/松島豊

(取材・文/キツカワユウコ、編集/本間美帆)


【PROFILE】
有華(ゆか) 1994年生まれ、大阪府出身。幼少期からピアノ・合唱を始め、18歳のときにシンガーソングライターとして活動を始める。2022年4月に配信した『Partner』はストリーミング総再生5000万回、SNS総再生回数13億回、LINEリアルタイムランキング1位を記録。2023年1月にメジャーデビューを果たし、同月にリリース配信の『Baby you』はTikTokでの投稿数が国内外合わせて50万本を突破し、SNS上の楽曲の再生数は20億回を突破。ストリーミング再生数も全世界で1,500万回を突破し、SNSで大きな話題となった。YouTube→@yuka__song、Instagram→@yuka__song