時間がたって、演じた役のことがクリアに見える
──今年公開された映画で言うと『エゴイスト』も『レジェンド&バタフライ』も素晴らしかったです。作品を通していろいろなことを経験されたと思いますが、一作、一役が今の宮沢さんにとってどんなものになっていますか?
どちらも2年くらい前に撮った作品なので過去の自分ではあるのですが、いろいろ忙しくさせていただいていると、ついそのときに感じたことを忘れてしまうんですよね。だけど、こうして作品についてのインタビューを受けていると、一瞬でそのときのことを思い出せるんです。
「精神状態がだいぶ変わったな」とか、「物事の感じ方や考え方が変わったな」ということを、意外とこういうタイミングで思い出すんですよね。それに、今こうやっていろいろお話ししていますけど、当時の自分はここまで感じ取れていなかったと思います。その瞬間を一生懸命にやっているから、感じ取れていたとしても他のことで埋もれてしまっていたので、2年という時を経て、やっとその作品の本質や自分が演じた人物がはっきりとクリアに見えている気がします。
──『はざまに生きる、春』を含め、今年公開の3作だけでもそれぞれ役の振り幅がすごいなと感じましたが、役を生きているときは「楽しい」「面白い」「しんどい」などなど……どの感情が一番大きいですか。
今となっては「どの役も楽しかったな」って思えるんですけど、その当時は「キツい」が一番ですかね。どの現場でもそうですが、自分が演じたいもの、表現したいものがそのレベルまでに達してないと、フラストレーションが溜まることはあります。
ただ、今作の透のように発達障がいをもつ役や、『エゴイスト』の役もそうですけど、自分がちょっと間違った表現や演じ方をすることで誰かをとても傷つけてしまう、差別を助長してしまう可能性が十分ある役だったので、その責任感みたいなものに押し潰されそうになったこともありました。でも、作品が完成して公開されたら、自分の中にあった不安もすべて払拭された気がするんです。
フランス産のチーズは「いい意味で大雑把」
──では、恒例の「イケメンたちの意外なイチメン」のコーナーに移りたいと思います。以前、映画『エゴイスト』で共演された鈴木亮平さんからは「みたらし(だんご)は友達です」という名言(!)をいただきましたが、宮沢さんの「実はこれが好き」といったことやものがあれば、ぜひ教えてください。
亮平さん、みたらし好きだったんですか! それは知らなかったな。僕はそれで言うとチーズですかね。昨年の12月と今年の1月に仕事でパリに行ったとき、現地で売っていた真空パックのチーズを買ってきたんです。もともとチーズ好きなんですけど、向こうのチーズ専門店には100種類くらいあって、僕は特にハードタイプのものが好きなんですけど、ハードチーズも30種類ぐらいあったので、その中から気になったものを3種類ほど買ってきました。
──チーズには何かのせたり、アレンジを加えたりしますか?
基本はそのまま食べますが、カマンベールのようなちょっと柔らかいチーズも買ったときは、クラッカーにのせたり、溶かして野菜スティックにディップしたりして食べました。
──ハードタイプチーズの特にどんなところがお好きなのですか。
食感も好きだし、噛めば噛むほど味が出てくる感じですね。柔らかいチーズは口に入れた瞬間に香りがふわっと広がる感じがあるのですが、ハードタイプのものは噛んでいると口の中でどんどん味も香りもふくらんでいくところが好きなんですよ。あとは手が汚れないのもいいですね(笑)。お酒を飲みながら、少しずつスライスしたチーズを食べるのがすごく幸せな時間です。
──日本のチーズとフランスのチーズの一番の違いはどんなところに感じましたか?
フランスのほうがいい意味で大雑把かなと思います。味もちょっと雑味があって、塩の粒を噛んだような “ジャリ”っとした食感があるんですよ。日本のチーズは不純物みたいなものも全部取り除いた、純度の高いものを作っていることが多いと思うのですが、フランスはもう少し適当というか、布でこしたときに出るカスのようなものも残していて、そこが好きなんですよね。フランスのチーズは個性があるなと思います。
──私は昔からチーズ工房に行ってみたいなと思っているのですが、宮沢さんがチーズで知りたいことや興味があることは何かありますか。
僕も作っている工程を見てみたいので、チーズ工房に行ってみたいです。写真や映像でしか見たことがないのですが、チーズを発酵・熟成させる部屋みたいなところがあるじゃないですか。そこにいろいろなチーズがずらっと並んでいて、「〇月〇日に作り始めた」みたいなことが書いてあるのを、実際に自分の目で見てみたいです。
あと、あの部屋がいったいどんな匂いがするんだろう?って気になりますね。めっちゃ臭いのか、「あぁ、チーズのいい香り」って思えるのか(笑)。