「ソーラン節」など『JAPAN』シリーズからのランクインに本人も大喜び!

 続いて9位には、「ソーラン節」がランクイン! 本作は、日本の伝統音楽を歌い継ぐというコンセプトで作られた3枚のアルバム『童~Warashi~』『民~Tami~』『粋~iki~』のうち『民』に収録されている。他にも『民』からは、22位の「おてもやん」、25位の「津軽じょんがら節」、44位の「さゆりの河内音頭~鹿児島おはら節」等が、また『粋』からは、13位に『「火事と喧嘩は江戸の華」feat.KREVA,MIYAVI』、53位には「虫の音(ね)」、71位に「しげく逢(お)ふのは」などの小唄も入っている。

 ちなみに、これらのCDセールスは『民』がオリコン最高247位『粋』はラッパーのKREVAやギタリストのMIYAVIの参加が大きな話題となったもののオリコン最高188位シリーズ3作を編纂した『JAPAN』もTOP300圏外と、CDセールス“だけ”で見るとヒットしているとは言い難い。しかしサブスクでは、かなり人気のアルバムと言えよう。その状況を知った石川は、この取材中、もっとも大きな喜びの声をあげた。

「ほ〜んとうだ〜! サブスクって、みなさんの気分や趣味・嗜好に合わせて曲が集められたもの(プレイリスト)を聴くと思うんですが、そこにこういった曲が入っているということですね? うれしいです!!」

 とはいえ、こうした民謡のスタンダードナンバーは、歴史的な歌手からデビューしていない歌い手による教材用録音まで、さまざまな音源がある。その中で石川さゆり版がダントツに支持されている理由は、やはり“石川さゆりのものならば”と、幅広い音楽ファンが聴きたくなるクロスオーバーな仕上がりだからであろう。特に「ソーラン節」が人気なのは、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾からなる“新しい地図”メンバーによるEテレ番組『ワルイコあつまれ』でも替え歌がたびたび披露されるなど、若い世代にも浸透していることも大きそうだ。

椎名林檎の紹介で亀田誠治とタッグを組んだ。布袋寅泰らとのコラボにも注目

 ちなみに、『民』や『粋』のアレンジの多くは、J-POPマエストロとしても評判の亀田誠治が手がけている。これはどういった経緯があったのだろうか。

椎名林檎ちゃんに曲を書いてもらってから、一緒にライブハウスを観に回ったり、ニューヨーク2人旅をしたりしていたんですね。それで、ある方のライブで林檎ちゃんが、“師匠~!!”って亀田さんに手を振っていて。“亀田誠治さん、紹介するね!”と、初めてご挨拶させてもらったんです。

 そのあと、彼にいろいろと音楽の相談をしてみたら、とても真摯(しんし)に向き合っていらして、私の知らないジャンルもよくご存じなんです。逆に亀田さんからは、“小唄、端唄、都都逸(どどいつ)などは自分のルーツにはあるはずなんだけど、どうアプローチしたらいいかわからない”というお話があり、“それ私、ちょうど作りたい!”と話を進めていきました。お互いのいい部分をミックスできたと思っています

 その後、KREVAやMIYAVI、さらには「別のギターの音が欲しい」との思いから布袋寅泰とのコラボを実現できたのも、亀田からの紹介だったという。石川の音楽に対する好奇心の旺盛さには驚くばかりだ。