現代的にアップデートされたオカルティックな怪異

『ダンダダン』の作者である龍 幸伸(たつ・ゆきのぶ)先生は本作の構想を練っていたときのことを、過去のインタビューでこのように語っています。

《ログライン(作品を一言で表すメモ)を書き溜めたノートがあって、それを読み返していたら『貞子vs伽椰子』が面白いって普通の感想が書いてあって(笑)。「ここから作ってみようかな」という感じで始まりました。》

 さらに同インタビュー内で、自身が小学生のころに流行(はや)っていた「オカルト」を作品に取り入れた経緯を語っています。

《もともとオカルトが好きだったかというと、小学校のころ流行ってはいたけど、そこまでではなかったんです。でも、実際調べ始めたらすごく面白くて。「わからないこと」ってけっこう面白かったりするじゃないですか。

 オカルトを語る人って、怪談専門、UMA(未確認飛行物体 ※原文ママ)専門とか分かれているんですが、幼いころに見たテレビ番組では全部ひっくるめてなので、自然と幽霊も宇宙人もごちゃ混ぜになりました。》(『日経エンタテインメント』より)

 創作のきっかけがホラー映画のクロスオーバー作品だったことや、幅広いジャンルを内包する「オカルト」をモチーフにした流れから、“ジャンルレス”な作品性の基盤が創造されたことは想像に難くありません。