賞レースを冷静かつ多角的な視点で分析し、臨んでいた
――2022年は、初めてストレートで準決勝に進みました。そのときの気持ちも聞きたいです。
くるま:あー……。ウケた量を含めて考えると、(勝つための)ボーダーには足りていないと思っていました。だけど、2022年は準決勝に進出する組数が25組から27組に増えたじゃないですか。だから僕らも入れたんだろうなと。“じゃあ、これからどうしようかな”と。
――「どうしよう」ですか?
くるま:準決に進める組を増やすという方法をとったとなると、また考え直さなきゃいけないところがあるんです。大会の意図とか、(主催側は)どうやったら盛り上がると思っているのか、とか。
平たく言えば、2022年はずば抜けたコンビがいなかったから、とにかく頑張ってスターをつくりたかったんでしょうね。ママタルト、ケビンス、真空ジェシカ、ヤーレンズ、俺らみたいなコンビって、大枠でいうと一緒なんですよ。本来は、全組が準決に行けることはなかったので、結果発表を見たとき、「こんなに上げてどうする気なん?」と言ったくらいでした。
――私たちの考えが及ばないところで、大きな波乱が起きていたんですね。ちなみに、そのときケムリさんはどう思っていましたか?
ケムリ:準決勝進出がわかった瞬間ってことですよね? そりゃあ、めっちゃ嬉しかったです(と、ピース)。
――ステキな笑顔です(笑)。では、敗者復活戦はいかがでしたか? あのとき披露したドラえもんのネタは、放送直後からネットで大反響を呼んでいました。
くるま:僕らは勝てると思っていなかったので、ネット民に向けてやっていました。あと、初めて体験した『M-1』の敗者復活戦の空気がお祭りのようで。この日ばかりは、プロではなく趣味人として、“趣味で漫才をやっていいんだ!”という開放感の中やっていたから、とにかく楽しかったです。人生でもトップレベルに楽しかった1日かもしれない。
――周りにも実力派の芸人さんばかりいるし。
くるま:そうそう。だから趣味全開の、めっちゃいいオフ会を楽しんだ気分でした。
――しかも、結果もついてきましたよね。敗者復活を果たしたオズワルドに次ぐ、2位を獲得しました。
くるま:ネットに向けてやった分、ネットの票が多かったんだろうなと思います。でも、その票を取って勝とうと思っていたわけではないんです。たまたま2位になれましたけど、12万票も差があったところを見ると、ネットよりテレビのdボタンの票数のほうが絶対多い。だから僕らの順位は本当にラッキーです。趣味が仕事につながったような状態。いま、関西含めていろいろな場所のライブに呼んでもらえていますけど、敗者復活戦でやった趣味を褒めてくれて、それを仕事みたいにしてくれたからだと思います。
――では、ケムリさんにも一応そのときの気持ちを聞いていいですか?
ケムリ:「一応」ってなんですか(笑)。
くるま:一応だよあんたは。人の話をぼんやり聞いているんだから。そんなバカがいるかよ。なんでちょっと楽な体勢とってんだよ。
ケムリ:……で、なんでしたっけ?
くるま:聞いてねえじゃねえか。
――敗者復活戦で2位になった瞬間の気持ちですね(笑)。
ケムリ:あ、嬉かったです(ピースしながら)。
くるま:小指を立てるなよせめて。