スタッフがおもしろがって作ってくれた「たこさん」
――私は光石さんが演じられた役の中でも、特にドラマ『珈琲いかがでしょう』の「たこさん」が大好きなんです。
また、マニアックなところを出してきましたね(笑)。確か、映画『波紋』の監督と脚本を務めた荻上(直子)さんが、このドラマでも脚本と演出を何話か担当していましたよ。
――今振り返ってみて、何かエピソードがあれば教えてください。
あのドラマは、美術部や衣装部の方々がすごく頑張って作り込んでくれたので、僕が特別何かしなくても、普通に芝居をしてセリフを言えば、もう「たこさん」になれたんです。スタッフみんなで作ったような役でしたから本当にやりやすかったし、楽しくて面白い現場でした。
――たこさんがずっと頭に巻いていた、たこ柄の手ぬぐいの色あせた感じもリアルでした。
そうなんですよ。それで、脇から髪の毛がちょろっと出ていてね。「なんでここから髪の毛が出ているんだ」って(笑)。でも、そういうところもスタッフが面白がってあの役を作ってくれる楽しさがありました。
――「小粋にポップに生きたい」など、たこさんは数々の名言の持ち主でもありましたが、この作品でたこさんの人生を少し生きてみて、いかがでしたか?
あんな浮世離れした生き方ができるなんて、そりゃぁ幸せですよね。だけどやっぱりあんな風にはなかなか生きられないですよ。それ相応の覚悟もいるでしょうしね。
現場では「あの人、ずっと何していたんだろうね」ということをみんなで話していたんです。ホームレスのような生活でも、コーヒーの道具や生活用品なんかも意外といいものを持っていたし「実はお金持ちなんじゃない?」とかね。
――確かに、若かりし日のある出来事はシーンとしてありましたが、それ以降のまだ描かれていない、何十年分のたこさんのスピンオフがぜひ見たいです!
気になるでしょう。実現するには、ギャラを上乗せしていただければ(笑)。