佐藤寛之「『勇気100%』は、今の僕らの年代でもグッと心に入ってくる」

 また、7位には'93年の「勇気100%」がランクイン。'91年以降は、ドラマ主題歌ミリオンヒットの時代に突入し、光GENJIのオリコンチャートも初登場から急落傾向にあり、この曲も彼らの中で22番目の売り上げと、決して高くない。しかし、今や世代を超えて、キッズソング集からエールソング集まで幅広い特集で選曲されており、カラオケでは光GENJIの中でダントツ1位というスタンダード・ナンバーとなっている。

「当時は若かったこともあり、チャートはあまり意識していなかったですが、今なお多くの方が歌ってくださっているなんて、ありがたいです!」

「当時は、ただカッコつけていただけで、“もっと大人っぽい歌を歌いたい”という気持ちが先行していた気がします。でもこの年代になって、子どもたちが歌ってくれているのを見ると本当にうれしいし、この歌詞は、今の僕らの年代でもグッと心に入ってきますね」

アルバム曲やバラードも人気、佐藤寛之はKinKi KidsのCDをお礼に爆買い!

 そして、シングルしか知らない人は意外に思うかもしれないが、実は光GENJIはコンセプトを重視したオリジナル・アルバムがとても多く、その中からの人気曲もランクインしている。32位にある「…。」(読み:しんじて。)は、佐藤寛之が作詞を手がけた人気曲で、KinKi Kidsが'23年のシングル「The Story of Us」の初回盤Bタイプのカップリング曲としてカバーしたことでも大きな話題となったダンス・チューンだ。

「これは、KinKi Kidsがジュニアのときに、歌番組でカバーしたんですよね。ダンサブルだし、彼らのルーツとして選んでくれたのかなって思います」

「僕自身、作詞家として見てもらったことがとても光栄で、うれしくてKinKi KidsのCDを20枚買いました! この'93年あたりから作詞への興味がわきましたね。歌詞の最後が“しんじて…。”で終わるので、その余韻をタイトルにしたかったんですよ。この曲は今後、もっと上位に来てほしいな(笑)」

佐藤の話に大笑いする山本。ふたりの仲のよさがうかがえる 撮影/矢島泰輔

 注釈すると、本集計は'21年に実施したものなので、今ならば“図書委員”(KinKi Kidsのファンに対する呼称)の方たちがきっと上位に押し上げてくれることだろう。それにしても、8位の「Graduation」、12位の「いつか きっと…」、19位の「I'LL BE BACK」など、バラードが総じて強くなっている。躍動的なイメージのある彼らとはギャップがありそうだが、

『I'LL BE BACK』が強いのは、コンサートの締めで歌うことが多かったからかな? みなさん、いろんな地方から来てくださって、そこで“I 'll be back~”って歌うわけですから、僕らが伝えたいメッセージともリンクしていますね。あとは大江千里さんに書いていただいた21位の『出逢い』をGENJIの5人(諸星和己、佐藤寛之、山本淳一、赤坂晃、佐藤敦啓)だけで歌ったことも、24位の『風の歌声に耳をすまして』をラストに向けた場面で歌ったことも思い出深いです」

「僕はね、(佐藤)アツヒロのソロ曲で、尾崎亜美さんに書いていただいた44位の『最後のGood Night』が大好きなんですよ。このバラード曲は自分のライブでも歌っていて、改めていい歌だと思いました」

僕は、馬飼野康二さんやタケカワユキヒデさんのメロディーが大好きですね。30位の『Meet Me』はタケカワさんですよね。いつもヒロ君と僕のふたりが、(仮歌やインストが入っただけの)まっさらなデモテープに声を乗せていくことが、レコーディング作業のスタート地点なんですよ。だから、レコーディングにあたって楽曲提供の先生方やコーラスの方々とお会いして、音楽に携わっているのも僕たちふたりがいちばん多く、必然的に曲をまるまる歌っているものも多いんです

「僕はニュートラルな歌声と判断されて、早い段階からレコーディングに呼ばれていたんでしょうね」

アルバムの曲が今もこんなに人気ならば、今後ステージでも歌っていきたいですね。(諸星和己のラップによるメンバー紹介ソングの走りとなった)15位の『2.5.7』を、ふたりだけで歌うというのはないでしょうけど(笑)。でも、この歌は諸星くんがよくメンバーを見てるなと感心しました

'80〜'90年代にかけて、社会現象となった光GENJI。ライブやイベント会場には常に黄色い歓声が響いていた