2001年の西城秀樹さん
思い返せば、当時の秀樹さんは「第三の黄金期」とも言うべき充実ぶりだった。
1994年、『紅白歌合戦』に10年ぶりに復帰し、『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』を熱唱。さらに『紅白』では1997年、YOSHIKIが作曲したシングル『moment』を歌い、2001年まで5年連続で出場している。
その存在感は「新御三家」でアイドル的人気を得た10代や『ブルースカイ ブルー』などスケールの大きな楽曲で魅了した20代半ばには及ばずとも、大人の鑑賞に耐える実力派のシンガーとしての評価が定着し、ますます際立っていた。
そうして迎えた2001年は、デビュー30周年のメモリアルイヤー。2月には海外でのファンクラブミーティングと記念の写真集『H45』(主婦と生活社刊)のロケ撮影でハワイ島へ。
3月6日には電撃的に「婚約」を発表。
プライベートでは数々のロマンスで浮名を流しながら「独身貴族」を貫いていた秀樹さんだったが、ひそかに交際を温めた大阪市在住の一般女性(美紀さん)と、ジューンブライドの6月に挙式するという。
当初の予定ではもう少し後に発表するはずが、ワイドショーにスクープされたのをきっかけに急きょ詰めかけたマスコミ取材に応じて認めたもの。ファンの間に少なからぬ動揺が広がる中での「30周年記念コンサート」ではあった……。
自らの言葉で客席に報告したのは、6曲ほど歌った後のMC。
「報道などでもうご存じかと思いますけれど、縁があって素敵なパートナーが見つかって婚約、そして6月30日に式を挙げることになりました」
「これが縁だなと思っています。また、このことによって歌もよりよくなり、みなさんにより楽しんでもらえるように、僕が成長できたらいいなと信じています。これからもよろしくお願いいたします」
そこから『至上の愛』『ちぎれた愛』と男女の絆をエモーショナルに歌い上げる。
フランス語のセリフから荘厳なイントロにつなげた『傷だらけのローラ』はとりわけ激しく、情感たっぷり。終盤の「ローーーーーラーー」で、みごとなロングトーンを聴かせる。