ライブハウス出身アイドル、でんぱ組.incやBiSは「雲の上のような存在だった」
──過去にはアイドルユニット『APOKALIPPPS』への加入や、吉川友さんとユニットも組んでいますね。
「ソロという軸があるから、ほかの活動もできる感じがします。自分のバンドが解散したとき、私が勝手にキレて、“誰とも音楽をやりたくない! “っていうトラウマを抱えていたのを、ユニットのメンバーたちが溶かしてくれました。みんないい子たちだったので、トラウマを忘れさせてもらえたんだなって思っています」
──でか美さんは、“アイドル戦国時代”と呼ばれていた2010年から約10年のあいだに、イベントやフェスなどにもよく出演していたように思います。
「いや~、全然波に乗れていなかったですよ。すごかったのは例えば、でんぱ組.incやBiSとか。(元BiSの)ファーストサマーウイカちゃんや、ゆるめるモ! のあのちゃんと一緒になると、“ライブハウスで頑張ってきた仲間たちがこういう(地上波放送の収録という)場で会えるなんてすごいね”って話になることもあるんです。でも、ウイカちゃんもあのちゃんも当時から人気があったし、私たちのような“ライブアイドル”、“地下アイドル”と呼ばれる人から見たら、雲の上のような存在でした。未鈴さん(古川未鈴・でんぱ組.inc)とかも、すごすぎて全然追いつけないですね」
──周りから見ると、でか美さんも活躍していたように思えますが。
「アイドルという肩書きの部分においては、私は一流じゃないと思います。でも、私がソロでアイドルっぽいことをして珍しがられている時代に、BiSとかでんぱ組.incとかがたくさんライブを開いて市場を開拓してくれたおかげで、結果的に私や地下アイドルたちの活躍の場も広がっていった感じでなので、ありがたいです」
ボートレース場での営業は「誰も私を見ていなかった」、同性ファンは年下が多数
──以前に古川未鈴さんにおこなったインタビューでは、彼女もお客さんが2人しかいない時代があったと語っていました(該当記事→『でんぱ組.inc』古川未鈴、引きこもりからアイドルへの道のりと「観客数人」時代やグループへの思い語る)。でか美ちゃんが特にしんどかった思い出などはありますか?
「私の場合はテレビ出演がきっかけで有名になったので、営業っぽい仕事も入るんです。例えば、“反省会出演のでか美ちゃんが登場!”みたいな感じで、ボートレース場に出向いてライブをするようなこともあったんですよ」
──アウェイな場所でライブをするのは、大変ではなかったですか。
「長崎のボートレース場での営業は、つらかったですね~。イベント会場のイスを、本当にただの休憩場所として使っている人たちばかりなんですよ(苦笑)。誰も私を気に留めず、下を向いてスマホをいじってる。距離は近いのに、歌なんて聞いてくれない。でも、レースで勝った人だけはすごく機嫌がいいという、すごく特殊な環境でした。唯一、いつも私が出る現場に来てくださる方が孤軍奮闘で盛り上げてくれているのが申し訳なくて、これはもっと頑張らないと……と痛烈に思いましたね」
──よく、人気が出たら“古参”と呼ばれる初期からのファンの方が離れていくといいますが、でか美ちゃんの場合はどうでしたか?
「初期のころとは入れ替わってきていますね。最初に自分のファンだって認識できた最古参の方は、もう1年か2年に1回現場に来てくださる程度で、姿を発見したとき、“うぉー、生きていたんだね!”ってこっちが興奮する感じです(笑)。ファンが離れていくことに対して寂しいなっていう思いはあるけれど、“地下アイドル”という存在を推すのが好きな人もいるので、テレビに出だしたら興味がなくなったりするのも仕方ないかなって思いますね。でも、昔のファンの方が突然来ても、意外と覚えていますよ。“実は結婚したから行けなくなっていたんだよね”って、4年越しに会いに来てくれた方もいました」
──現在のファン層はどういう感じですか?
「男性はおじさま方で、女の子は自分より年下が多いですね。他のタレントさんは、テレビやラジオに出だすと、なかなか会えない方が多いじゃないですか。私はライブハウス出身なので、ファンの方と会う機会を持つのが好きなんですよ。だから今でも毎月1回、その月に起きたことをまるっと話すトークライブを開催しています。“えっ、この人はこんなに簡単に会えるんだ”と面白がってくれる方もいるし、ファンと濃い交流ができる場所として、このライブは大切にしていますね」
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飾らない言葉で、テンポよく受け答えしてくれるでか美ちゃん。インタビュー第2弾では、事務所の移籍、改名後の活躍、結婚観などについて、包み隠さず語ってくれました。
(取材・文/池守りぜね)
【PROFILE】
でか美ちゃん(でかみちゃん) ◎1991年、三重県生まれ。コメント力に定評があり、『有吉反省会』(日本テレビ系)でブレイクを果たした後、自身の楽曲の作詞作曲やライブ活動、楽曲提供、グラビア、映画出演、コラム執筆などジャンルやメディアにとらわれず活動中。一度聞いたら忘れられない芸名“ぱいぱいでか美”で活動していたが、いろいろ考えて2021年12月、現在の親しみやすい名前に改名。現在はTBSラジオ『こねくと』の火曜パートナーや『BOOKSTAND.TV』のMCとしても活躍している。
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