医師を中心に喜びの声が続々、院内に複数店舗ある病院も

──院内に出店してから、どのような反響がありましたか?

知久:患者さんやお見舞いにいらっしゃる方に多く利用していただいていますが、いちばん喜ばれたのは、忙しくて外に一服しに行く暇もない医師の先生方だったんです。病院側にとっても、東大病院などの場合は、遊休スペースとなっている場所を有効活用できたことが大きなメリットだったようです。また、実は、院内店舗の面積はあまり大きくないんです。厨房とバックヤードさえあれば成り立つので、病院の受付の周りなどにも設置できる。大型店舗ですと費用がかかるので、初期投資が少なくて済むのは大きいですね。

田中患者様やお見舞いにいらした方ももちろんのこと、医療従事者の方や病院職員の方の利用が特に多いです。これまでは、病床数が多い大規模な病院への出店を主としていました。今期以降は、ご要望をいただいていることもあり、中規模の病院にも拡大していこうと考えています。

──私が利用した病院では、ひとつの病院の中に、2店のローソンが出店されていました。

田中ひとつの病院内に、複数の店舗が出店しているところもあります。医学部や看護学校を併設している病院の場合は、学生の方も多く利用されます。また、1階にある店舗は外来患者様向け、別の階にある店舗は入院患者様向けとして、他の階にはない手術や入院時に必要な商品を置くなど、フロアによって広さや品ぞろえを変えています。店舗の広さがあれば、イートインを併設できるので、入院患者様のちょっとした気分転換の場になり喜ばれています。

バリアフリー設計、豊富な医療材料……院内店舗ならではの工夫

──院内店舗と通常店舗では、どのような違いはありますか?

知久:タリーズの場合は、バリアフリー設計を心がけています。車イスの方も多く利用するので、通常店舗よりも通路幅が広くなっており、レジのカウンターも(車イスの)脚が入り込めるように掘り込んでいて、カウンターテーブルの高さも10センチ下げています。そのほか、テーブルやイスにはなるべく杖置きを設置しているほか、メニューボードの文字を通常より少し大きくしています。

タリーズの院内店舗で使われているイスの脇には、杖置きが備え付けられている 画像提供/タリーズコーヒージャパン株式会社

──利用者さんのために、さまざまな工夫がされているのですね。

知久:また、'04年くらいまで、イスの座面は木のまま使っていたのですが、院内店舗での取り組みから派生して、今ではどの店舗もすべてクッション張りにしています

──より居心地のいい環境づくりに徹しているのですね。店内に待ち時間を表示するモニターがある店舗もあるそうですね。

知久病院への出店は基本的に公募制なので、出店を希望する他の飲食店とコンペティションになることが多いんです。その際に当社からの提案として、“店内に呼び出しモニターをつけませんか”という提案をして、それが採用された形ですね。

東京警察病院内のタリーズの店内には呼び出しモニターを設置。利用者にとっては非常に便利なサービスだ 画像提供/タリーズコーヒージャパン株式会社

──院内店舗では、デカフェ(カフェインが少ないコーヒー)も選べるのが妊婦さんや、高齢の方にもいいですよね。

知久:デカフェは病院に限ったことではないですが、院内店舗ではできる限りメニューに取り入れるようにしています。そのほかの商品は通常店舗と特に差別化していませんが、飲み物だけでなく、食事メニューがわりと出るので、ラインナップを多めに用意しています