『らんまん』第11週、舞踏練習会発足式で高藤(伊礼彼方)は寿恵子(浜辺美波)にフラれ、妻・弥江(梅舟惟永)に「みっともない!」と一喝された。寿恵子には「どうして生まれ変わらなければいけないんですか?」と追及され、弥江からは「この国の行く末を描くのに、女の考えを聞こうともしない」と見破られていた。「不平等条約を撤廃し、わが国が他国へ出ていくのです」と侵略志向を露(あら)わにすると、ダンス教師・クララがすかさず異議を唱えた。
マッチョ思想にノーを突きつける女性たち。脚本の長田育恵さんの決意が伝わってくるシーンだった。エンジン全開で、女性の真っ当さを描く。そんな意気込みに満ちていた。が、それだけで済ませないのが、長田さんの上手なところ。女性の強さを見せたのち、男性という「高い壁」を描いてみせる。そう、東大教授の田邊(要潤)だ。
彼の本性が見えてきた。度外れた図々しさ。自他ともに認める自己中心主義者。そこで五分の戦いを見せているのが万太郎(神木隆之介)だ。まっすぐで、物おじしない“おぼっちゃまパワー”が、彼を五分に戦わせている。だが、やっぱり田邊が一枚上手では。そう思わせるのが、舞踏練習会発足式のシーンだった。
女性たちが全員退出してしまい、男性たちは多少うろたえていた。「夫人を同伴せねば、一等国と見なされません」とトンチンカンに引き留める人もいた。そこに聞こえてきたのが、「フッフッフ」という笑い声。「何がおかしいのですか、教授」という声で、田邊とわかる。アップで、こう言う。「やはりこの先、女子への教育は急務だと」。余裕しゃくしゃくだった。