幼少期から警察の世話になり、高校中退後は坂道を転げ落ちるように真っ当な人生から遠ざかっていったのは、不良ファッションの専門通販サイト『悪党の店 BIRTHJAPAN(バースジャパン)』(新潟県南魚沼市)の社長・石川智之さん。
2006年に一念発起してネット通販を始めてから17年、いまやヤクザやヤンキーファッションの取り扱い点数や、“悪”をとことんまで追求したデザイン性で、他の追随を許さないまでの存在となった。
一度見たら忘れないサイトは、“悪党”以外にも強烈なインパクトを与え、SNSで話題になることもしばしば。
ヤクザやヤンキーものの映画やドラマでも数多く衣装協力を行い、テレビ番組に出演することもある石川さんは、どのように『悪党の店 BIRTHJAPAN』のブランド力を確立させていったのだろうか?
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自身の知見と独学で、不良ファッションのトップランナーに
2009年から、不良ファッション専門にかじを切ることにした石川さん。『悪党の店 BIRTHJAPAN』にアクセスすると、とにかくギラギラしていて、クドいことこの上ない(褒め言葉!)。
「一度きりのこの人生 自分らしく派手に輝こうぜ!」「秒で社会のガンになれるマスク」「邪魔な野郎は蹴り飛ばせ 靴」といった強烈なコピーがあると思ったら、「月間優良ショップ受賞 全國のゴロツキのみなさまに心より御礼申し上げます」「女性スタッフが誠心誠意対応いたします」など、やたらとていねいだったりして、このカオスっぷりがクセになりそうだ。
こうしたサイトデザインやキャッチコピー、写真のディレクション、商品の仕入れ、オリジナル商品のデザイン、発注などはすべて石川さんが担当している。
高校中退でまともな会社で働いたことがなかった石川さんは、すべて手探りで経験を重ね、商品デザインに欠かせないPhotoshopやIllustratorなどの各種ソフトの扱いも独学で習得した。
「キャッチコピーについては、人には言えないような商売をしていたときに身につけました。とあるものを販売するために、出会い系サイトなどに書き込みをするのですが、文字数が限られているうえに、禁止ワードもありました。
そんな制約の中、いかに人の興味を引くかを徹底的に考えていたんです。あのときの経験が間違いなくいまに生きていますね」