天野ひろゆきと一緒に「海が見えるカフェをやりたい」

 深く悩んだりすることがあまりなくて、寝たら忘れるんですよね。悩んで寝られないということもないんです。悩みそうになったら、おいしい酒を飲む、そして、寝る。悩んだときはそうすると、翌日はいくぶん軽くなってるんですよ。

 でも、その時々で最善を尽くしてはいます。それでダメなら食べて寝ちゃう。それと、天野くんと妻には何でも話します。ずんの飯尾和樹さんにも話します。飯尾さんには「それ、自分で溜めておいてくれないか」って言われたこともありますけど(笑)。

なにもかも  手につけられない  そんな時  一回寝てみる  これがいいんだ

成功の  自分もいいが  失敗の  自分も認めて  寄り添い救う

──『ウドの31音』より

──悩みそうになったら食べて寝て、何かがいつの間にか解決してくれている。理想ですね。『ウドの31音』にはそんな人生の教訓が満載でした。

 教訓なんてそんな恐れ多い(笑)。いえね、僕にも建前と本音はあって、理想もあるんですよね。そこに向かって寄り添うように生きていきたいんですけど、常に51対49、49対51の割合でポジティブとネガティブをさまよってます

 80対20でもなく、30対70でもない。いつもどっちかの自分がどっちかを慰めたり認めてあげたり、褒めてあげたり、叱ってみたり。できないのも自分なんだ、できたときも自分なんだ、失敗も成功のうちというくくりで生きていくんだという気持ちが表れた1冊になっているのではないでしょうかね。

 自分は『赤毛のアン』が好きなんですけど、苦境でも明るく生きているアンに、ステイシー先生が、「明日はいつも新しい日、失敗はないわよ」って言うんです。自分もその言葉を胸に毎日生きていた時代があったんですよね。って、毎日、失敗してんのかよ!(自分にツッコむ)。

 それでも、生きている、生かしてくれる世の中があることが幸せなんです。でもね、僕も成功したいですよ!

インタビュー中は取材スタッフへの気遣いなど温かい人柄がにじみ出ていた 撮影/有馬貴子

──ウドちゃんは成功しているのでは?

 まだしてないですよ。天野くんと喫茶店をやりたいですよ。海が見えるカフェで、天野くんがオーナーで、お客さんと話しながらゆっくり時を過ごすんです。それもしたいけれど、やっぱり死ぬまで天野くんと漫才をやりたいですよね。天野くんと漫才しているときがいちばん楽しい。それがずっとできればいいですね。漫才と喫茶店。あとはもういいです、今世は。これでいいのだ、バカボンのパパです。申し訳ございませんでした(ペコリ)!

──ウドちゃんはいつも謝っているイメージが(笑)。

 悪いと思ったら謝りなさいと祖母に言われて育ったので、今は何でもかんでも謝っています。座右の銘が「生まれてごめん」。それは、太宰治さんの『人間失格』へのオマージュなんですけど、飯尾さんやウッチャンナンチャンの内村光良さんからも、「ウドは謝ってスッキリしたいだけだろ」とツッコまれます。生まれて生きていることでご迷惑をかけますけど、すみませんね、受け止めてください。

歌集のプロモーション用Tシャツのメッセージも五・七・五・七・七で 撮影/有馬貴子
ウド鈴木さんの歌には生きている幸せを詠んだものが多い 撮影/有馬貴子
本人が選んだお気に入りの一首 撮影/有馬貴子

(取材・文/いくしままき)


《PROFILE》ウド鈴木(うど・すずき) 1970年1月19日、山形県生まれ。1991年に、天野ひろゆきとお笑いコンビ『キャイ~ン』を結成。バラエティーを中心にドラマでも活躍。レギュラー番組『旅してゴメン』(メ〜テレ)「定禅寺しゃべり亭」(NHK仙台)、『キャイ~ンのティアチャンネル』がYouTube配信中!

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