脂質が多い食生活になっていないか、見直してみよう

 読者にはここで今一度、自分の食生活についても見直してほしいと松崎代表は言う。

フムフムニュースの読者に多い20~30代女性は、食事に占める脂質の割合が多いという傾向があります。例えば、昼にはコンビニのお弁当とスイーツを食べて、仕事帰りには友達とフラペチーノを飲みながらおしゃべりするとかですね。カロリー的には摂りすぎている人が多いという明確なデータはないようですが、栄養バランスとしては、脂質からのカロリー摂取を減らしてタンパク質や炭水化物を摂ることをおすすめします」(松崎代表)

 脂質からのカロリー摂取は腸内環境を悪くするばかり。そこで食べてほしいのが、ご飯をはじめとする穀物だという。

穀類は食物繊維が豊富ですから、腸内環境を整えてくれるんです。特に炊飯したご飯には水の分子が多く含まれているので、肌の水分量を整え、ハリを与えてくれますよ」(松崎代表)

 流行中の糖質制限ダイエットの影響か、穀物は悪者にされがち。だが米や小麦、とうもろこしなどの穀物には糖質や食物繊維など、人間に欠かせない栄養素がたっぷりと含まれている。

「脂質いっぱいのスイーツ類は、“たまのご褒美”程度にしておくほうがいいでしょう」(松崎代表)

穀物には栄養素が豊富(写真はイメージです)

 抑えたほうがベターなのが脂質なら、逆に、ぜひ摂りたいのがたんぱく質だ。

人の身体、組織のほとんどはたんぱく質でできています。ですからたんぱく質が不足すると疲れやすくなったり、肌の新陳代謝も悪くなります」(松崎代表)

 たんぱく質豊富な食材は同時に、鉄やマグネシウム、亜鉛といったミネラルも豊富な傾向がある。こうした栄養素は特に女性に欠かせない。

おやつ代わりに摂るのなら、ゆで卵やちくわ、チーズやナッツがいいでしょう。特にナッツはタブレット菓子がやめられない人にもおすすめです。脂質は多いものの、不足しがちなミネラルが豊富で、さらにはカリカリとした食感が噛む快感に通じます。タブレット菓子の代替えになると思いますよ」(松崎代表)

(注)2023年7月14日にWHO傘下の国際がん研究機関は、アスパルテームの発がん性の可能性、特に肝臓がんリスクの可能性について見解を発表しました。この背景には、肝臓がんなどがんの発症リスクの可能性を指摘する研究論文が増えてきた、ということがあります。ただちに重大な問題があるということではありませんが、過剰摂取は避けるべきと言えるでしょう。

(取材・文/千羽ひとみ、編集/小新井知子)

《PROFILE》
松崎恵理(まつざき・えり)
一般社団法人栄養検定協会代表理事、栄養学博士、料理家、女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員、ル・コルドン・ブルー代官山校(現・東京校)ブランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier短期クラス終了。誰でも栄養学の基本を学べる栄養検定および通信教育講座を実施するほか、ユーキャンの介護職コーディネーター講座のテキストおよびレシピを作成している。雑誌、書籍などへのレシピ提供や、コラムの執筆なども行う。