ソロとバンド活動の違いとこだわり

──中川さんはソロでも活動されていますが、ソロとバンドで曲も分けていたりしますか?

語弊があるかもしれないけど、基本、曲作りは全部ソロのために書いてる。自分が歌うために書く、ということやね。最近は、ソウル・フラワー・ユニオンの曲も、バンドで演奏する前にまず弾き語りで歌うしね。バンドのほうが合いそうやったらバンドで演奏するし、ソロのほうがよさそうやったらアコースティックで演奏する。バンドだから、ソロだからというのではあまり分けてないかな

中川敬さん 撮影/山田智絵

──今回のソロ・アルバム『夜汽車を貫通するメロディヤ』(7月5日発売)は、どのような部分をこだわりましたか?

「ずっと長い間バンドでやってきてるから、ソロ・アルバムでは、それとは違うことをやりたいっていう欲求が働く。ひとりで表現できる音世界が、年々、好きになってきててね。今回のソロ・アルバムは、ニューエスト、ソウル・フラワー・ユニオンを入れて、自分の最高傑作と言い切れる。それくらい今回、本当に気に入ってるんよね

──では、バンドならではのよさはどういう部分だと思いますか。

「やっぱりバンドならではのマジックが起きること。俺は曲ができるとレコーディングするまでに歌詞の推敲を重ねるタイプで。でもバンドって、アレンジとか曲の長さとか、ある程度決まってしまうでしょ。そこがバンドの弱点でもあり強みでもある。だから推敲を重ねない、雑にバーッと書いた歌詞をバンドで演奏すると、面白いもので、逆に映えるときがある。逆に乱暴さが生きる、というか。複数人の奏でる音塊が、歌世界を豊穣にする。それがバンドのマジックなんよね

──Twitterでは大還暦(120歳)まで歌いたいと発言されていました。

120まで生きる、やね(笑)。歌うのは100ぐらいまでかな(笑)。音楽をやるしかない。それしかないから。ほかにいろいろ才能があればよかったけど、本当に音楽しかない。メロディーと歌詞ができあがって、一曲が完成した瞬間の喜びって、何ものにも代えがたいんよね

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 前編では中川さん自身のキャリアについて語っていただきましたが、後編では海外遠征や被災地での音楽活動、名曲『満月の夕』の誕生について迫ります。

(取材・文/池守りぜね、編集/小新井知子)

《PROFILE》
中川敬(なかがわ・たかし)
1966年3月29日生まれ、兵庫県西宮市出身の日本のミュージシャン。ニューエスト・モデルなどのバンド活動を経た後、'93年にソウル・フラワー・ユニオンを結成。ロック、アイリッシュ、ソウル、ジャズ、パンク、レゲエなどさまざまな要素を貪欲にとりこんだ雑多な音楽性で高い評価を得る。'95年にはソウル・フラワー・モノノケ・サミットを結成し、被災地での出前ライヴを開始。そのほか別ユニット活動も精力的。2011年にリリースしたアルバム『街道筋の着地しないブルース』がファースト・ソロ作。

★2023年7月5日にソロ・アルバム第5弾『夜汽車を貫通するメロディヤ』発売!

*『夜汽車を貫通するメロディヤ』特設ページ:
https://breast.co.jp/soulflower/special/nakagawa_solo5/