『タイムショック』では手に汗握る名勝負を展開。最近気になる番組は?

──解答者としては、『タイムショック21』(テレビ朝日系)にも出演したことがありますよね。

「大学生のときに出演しました。いろんな経験をしましたね。3回出場しているのですが、特に1回目の放送が、当時けっこう話題を呼んだんですよ。経済的に苦しい大学生のメンバー5人で『苦学生チーム』として出場したんです。1人ずつタイムショックに挑戦して賞金を積み上げるんですが、1人でも5問以下だと失格、賞金没収というルールでした。ただ1人で12問正解すれば即1000万円獲得という特別ルールもあったんです。僕がトップバッターで、1発でパーフェクトを決めて1000万円をみんなで山分けする算段で臨んだのですが(笑)、1問だけ落としてしまい、500万円獲得して他のメンバーにバトンを渡しました。

 他のメンバーも頑張ってくれて、3人目で950万円までいったんです。4人目のメンバーが6問正解すれば1000万円に到達、でも5問以下だと、罰ゲームとして座っていたイスが上下左右に回転するという“トルネードスピン”を受け、せっかく積み上げてきた賞金も没収。当時は鹿賀丈史さんが“時の番人”という役割でいらっしゃって、“950万円まで積み上げた苦学生チーム。残されたふたつの道は、1000万円か、トルネードか”って煽(あお)るんです。最後の解答者はものすごい重圧だったと思います

──結果はどうだったのでしょうか。

それが5問正解で、もう1問届かず……950万円が水の泡になったんです。祈るような気持ちで見ていたんですが、みんな倒れ込みましたね。ただ賞金が欲しいだけではなく、本当に生活費に直結していたので、悔しかったです。最後のメンバーは泣いちゃうし、僕たちも収録後はショックで動けませんでした。司会の中山秀征さんや新山千春さんが、“まだ若いし絶対に良い経験になるよ。またチャレンジしてね”って、カメラが回っていないところで、すごく優しくしてくれたのが印象に残っていますね。実はその半年後に、僕にリベンジの機会が回ってきたんです。夏の特別企画で『タイムショック』に再挑戦した。そのとき優勝して100万円を手にしたんです。初めてクイズの賞金として大金をいただいたので、うれしかったですね

──日高さんはさまざまなテレビ番組に出演しているので、街中で気づかれることもありそうですね。

「僕は、時期によって声のかけられ方が違うんですよ。クイズ番組の解答者として見ましたって言われることもあれば、'10年代は雑学タレントみたいな感じで番組に出ていたので、“『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)いつも見ています!”と言われることも。意外と東京よりも地方都市のほうが、今でも声をかけられるんですよね。この間、仙台に行ったときも、コンビニでお弁当を温めてもらっていたときに店員さんから、“ひょっとして日高さんですか?”って聞かれたり。“このタイミングで!”と思いましたが(笑)、知っていてくれてうれしいな、という気持ちを噛みしめながらお弁当を食べました

──近年は『東大王』(TBS系)など、高学歴のプレイヤーが競うクイズ番組も増えてきました。その風潮はどう思いますか?

「以前から、クイズ王のすごさを見せるというやり方は『史上最強のクイズ王決定戦』(TBS系)や『カルトQ』(フジテレビ系)、『高校生クイズ』を受け継いだ『頭脳王』(日本テレビ系)という番組がずっと果たしてきたので、『東大王』はこれまでのクイズ番組と比べて、うーん、さほど新しさは感じないですね……」

──手厳しい意見ですね。

裏番組になりますが『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)は本当によくできていますよね。クイズの難易度も簡単かと思いきや、ちょうど難しい問題が出る。知識とヒラメキのバランスも絶妙ですし、新しいクイズ形式を発明していると思います。家族で一緒に見るのもちょうどいいと思いますね

──では、クイズ作家から見て、「一本取られた!」と感じた番組は何でしたか?

「プロになってからある程度、キャリアが長くなっているのですが、その観点から見ても『クイズ☆正解は一年後』(TBS系)のシステムはすごいですね。あんなの思いつかないです。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の演出などで有名な藤井健太郎さんが手掛けている番組なんです。年末恒例の生放送として有名ですが、1年がかりで答えを予測するっていうフォーマットが斬新。考えた人がすごいなって思います

──クイズをエンタテインメントとして昇華していますよね。

「他には映画の『スラムドッグ$ミリオネア』を観たとき、こんな手法を使えば、クイズを使って人を感動させられるのかと映画館で衝撃を受けました。3つ目はこの仕事を始める前なんですが、『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』(テレビ朝日系)の『プレッシャーSTUDY』のアイデアは衝撃でした。この企画ではひとつの画面に問題が10問表示されて、10人がそれぞれ1問選んで順番に答えるんです。視聴者から見ると、簡単な問題から解いていくんですけど、9番や10番の難問で止まってしまう。答えがわかりそうでわからない。すると、答えがわかるまで番組を見続けることになる(笑)。しかも勉強にもなりますし、いろんな仕掛けが絶妙だと思いました

クイズ番組について語る日高さんの表情はとても生き生きとしていました