マヌルネコは世界最古のネコって言われているって本当?

 本当です。マヌルネコはネコ科動物の中でも最も古い種で、約600万年前にはすでに地球上に存在していたと考えられています。さらに驚くべきことに、当時からほとんど姿が変わっていないと考えられているのです。

 私たち人間の歴史を見てみると、チンパンジーと人間の祖先が枝分かれをしたのが700~600万年前だといわれています。そう考えてみると600万年前からほとんど姿を変えず、現在まで生き残っているマヌルネコはとてもパワフルで生命力にあふれた動物なのかもしれません。

どんなものを食べているの?

マヌルネコは人間と同じく瞳孔が丸いまま大きくなったり小さくなったりするのも特徴 写真提供/那須どうぶつ王国

 マヌルネコは肉食性の動物で、ウサギ類やげっ歯類などの小型ほ乳類を主食にしています。野生ではネズミ類、ハムスター、ジリス、マーモットなどを捕まえて食べています。

 狩りのときは岩場に潜んでじわじわと獲物に忍び寄り距離を詰め、頭を岩陰から少しだけ出して獲物の位置を確認し、一気に飛びかかってつかまえます。このような狩りをするため、マヌルネコの耳は他のネコ科動物より低い位置に、目は高い位置についています。

 ちなみに那須どうぶつ王国では馬肉、鶏頭、ヒヨコ、ネズミを合わせて1匹あたり1日に300g程度のエサを与えているそうです。

走ることが苦手って本当?

 本当です、マヌルネコは走ることが得意ではありません。そのため狩りをするときはだるまさんが転んだのように少し動いては一時停止をする、コマ送りのようなカクカクとした独特な動きをしながら獲物に迫っていきます。

 なお走ることが苦手とはいえ、運動神経が悪いというわけではありません。那須どうぶつ王国でも、高い岩場や木の上に身軽にのぼっていく姿が観察されているそうです。

 ちなみに野生におけるマヌルネコの天敵はキツネや大型の猛禽類で、特に子ネコのうちは捕食されてしまうことが多いようです。そんなマヌルネコが天敵と戦うときに使う最大の武器は爪や犬歯……ではなく、なんと地面に這いつくばること。素早く動けないうえに身を隠す物が少ない開けた場所に住んでいるため、身の危険を感じると地面に這いつくばって動きを止め、地面や岩に擬態してなんとか身を守ろうとするのです。