子どもへの“幸せの押しつけ”を反省、父に「褒めてもらいたかった」息子の姿に涙

──50代になり、なにか身体にいいことはやっていますか? 健康づくりについて教えてください。

「お酒は毎日飲んでいます。休肝日を作ったらストレスを感じ、お酒を抜いたらダメになると思えましたから。普段は朝5時に起きてランニングして、仕事の後、夕方5時ごろから飲み始めて夜10時には寝ます。朝食はヨーグルトとトマトジュース、昼食は量控えめで炭水化物はあまりとらないなど食事制限もしています。だけど夜は酒を飲んでがっつり食いたい! すごく食べますし、1杯目はビールでその後は泡盛やハイボールが多いですね。でも、この10年、人間ドックで悪いところはなく順調。若いころは収録終わりにみんなで焼き肉を食べに行くなど暴飲暴食ぎみで、今より10キロ太っていました(笑)」

──自分をよく知り健康管理は完璧! そんなゴリさん、プライベートではふたりのお子さんがいますが、どんな父親でしょうか?

「最近は息子も娘も、僕の番組を見たら“ロケが面白かった”など感想を話してくれるようになりました。でも2人とも学生で思春期なので、まだ親の仕事を隠したがりますよ。“運動会に来ないで”という気持ちは理解できますが、父親としては寂しくて、何度かこっそり見に行きました。僕には言わないけれど、息子も娘もつらい思いをしたはずなんですよ。小学生のころ息子は僕のことを上級生に知られてしまい、注目されたり家に行きたいと言われたりしたみたい。親には興味があるけれど自分を見てくれない、という悲しみがトラウマになったようです」

思わず目を潤ませるゴリさん。このあとのエピソードで、涙が頬を伝いました 撮影/小橋川恵里奈

──有名人のお子さんには苦労がありますね。大人になって、いろいろな話ができるといいですね。

「社会人になれば、もっと話ができると思っています。昨年末、日本PTA九州ブロック大会が沖縄で開催され、子育てをテーマに講演したんですけど、2000人以上の前で泣いてしまったんですよ。子どもの幸せを願っていたつもりが自分の考えを押しつけてしまっていたころを思い出して涙が出ました。僕は小さなころからスポーツができるほうで、息子もできるだろうと思っていました。自分と同じように息子にもサッカーをさせたんですけど、見に行ったらキーパーをしていて、蹴らせてもらえていなかったんです。それでも息子は練習を頑張っていましたが小3のときに“やめたい”と言われ、やりたくないことを僕がずっとやらせていたのだと気づき、謝りました。

 小5になったら突然バスケットボールがやりたいと言い出したんですが、バスケ部員の同級生に、うまいと褒められたそうなんです。うれしくなった息子はバスケ部に入り練習を重ねて、6年生でエースになり区大会で優勝。見に行った僕にワンワン泣きながら抱きついて、“お父さんに褒めてもらいたかった。サッカーはつらかった”と言われ、人目もはばからず2人で大泣きしました。息子はこういう姿を僕に見せたかったんだなと。講演中は、それを思い出したんですが、あんなに多くの人の前で泣いたのは始めてでした。今も思い出すと泣きそうです

──ゴリさん、今も涙が流れていますよ。聞いているとこちらも泣けますし、お子さんからの学びは多いと思えました。

「例えば、いい大学に行くのが幸せという考え、好きなことをやるのが幸せという考え、どちらもあります。子育てはそれぞれで正解はわかりませんが、僕はまず自分の考えを押しつけ、その後子どもに選択させていました。小学校を受験させようとしてドタキャンし、親のエゴだったと嫁と反省したこともありますし、試行錯誤しながらの子育てです

──素敵なご夫婦ですね。好きなことで活躍する息子さんもカッコいいです。

「息子はバスケの強豪高校に進学したんですが、部のメンバーを見てレギュラーにはなれないと判断してバスケはもうやっていません。自分で決めた選択だからそれでいいと伝えましたし、誰も息子を責めたりしていません。僕自身も大学を中退し、よしもとに入って芸人になり、両親にいろいろと反対されながらも結局許してもらっていました。“お父さんは自分の人生を後悔していない。お前も後悔だけはするな”と息子に言いましたが、彼は今、大学院への進学を考えているはずです

ちょっと照れくさそうに笑うゴリさん。お子さんたちの健やかな成長を願います 撮影/小橋川恵里奈