最大のライバルが泥まみれに!

 私がチャレンジャーたちの後方を陣取ったのには、もうひとつ理由がありました。

 日本にいるときからしょっちゅう一緒にクイズをやり、最大のライバルと考えていた森田敬和さん(以下、森田さん)が果たしてここを抜けるかどうか。その結果を知ってからチャレンジしたいと思ったのがその理由。

 結果、その森田さんはどうなったか?

 〇×クイズに不正解で、泥まみれになったのです。

 その姿を見たとき、最初に思ったのは「ウソ!?」でした。彼の実力……というか、引きの強さを知っていたので、こんなところで落ちるわけはないと思っていたからです。

 そして、次の瞬間「第10回の記念大会でもある今回のウルトラクイズのためにも、クイズの心得がある自分は勝ち抜かなくては!」という使命感が襲ってきました(いま思うと生意気ですね。でも、当時はまだ若くてとがっていたのです)。

 森田さんが失敗した直後に、私は歩みを前に進めて留さんに視線を送りました。すぐに留さんと目が合い「西沢、行くか」と声が。このあたりが留さんのすごいところ。私のテンションも、完全にMAXになっていました。

「問題 忠犬ハチ公は、実はメスだった?」

 これが私への〇×クイズでした。忠犬ハチ公については一度詳しく調べたことがあり、一瞬で「これは、〇に飛び込んで泥んこになったチャレンジャーに、留さんが“そんなわけあるか!”とツッコミを入れるタイプの〇×クイズだ」と思いました。

 そのうえ留さんが、私が走り出す瞬間に「君なら大丈夫だ、さあ行け!」と言ってくれたのです。この言葉、私には、機内クイズで総合3位だった自身への「こんなところで落ちるな!」というエールに聞こえ、さらに×を確信できたのです。