1日の仕事を終えて、「そろそろ帰ろうかな」と思ったところで、突然、上司や同僚から「今日、1杯どう?」と急な飲み会のお誘い。
残業を頼まれるよりはよいけれど、帰ったらお気に入りの海外ドラマを見まくる予定だったので、ちょっと気が乗らない……。
そんなとき、なんと言って誘いを断りますか?
できれば、相手の気分を損なわずにお断りしたいもの。
今回は、そんな誘いをお断りするときの“笑えるフレーズ”と“使えるフレーズ”の話。
「笑えるフレーズ」を駆使するタレントたちの断り文句
まず、ちょっと笑えるフレーズから。
タレントで女優の壇蜜さんは、かつて水商売の仕事をしていた時期があったそうです。
そのころ、ほかにもいくつかの仕事をかけ持ちしていて、仕事によっては朝が早いこともあったといいます。
そんな「明日は早起きしなくては」という前の晩に限って、お店のお客さんからアフターに誘われることがあったそうで、そんなときは、相手にこんなことを言って誘いを断っていたそうです。
「今日は、帰ってから除霊をする日なので」
怖っ! そんなことを言われたら、それ以上は誘えませんよね。だって、除霊ですよ、除霊(笑)。
壇蜜さんは、お客さんからのお誘いを断りやすいという理由で、お店でしばらく「定期的に除霊をする人」というキャラクターを演じていたそうです。
タレントの高田純次さんも、人からの突然の誘いを断るとき、ちょっと笑えるフレーズで断っていたといいます。
「ごめん、明日ニューヨークに行くんで、朝早いのよ」
これならウソ(というか冗談)だとわかるし、相手も笑って誘うのをやめてくれます。あとは、こんなフレーズで断ることも。
「ごめん、出口でおネエちゃんが待ってるんで、もう行かないと」
これも笑いで煙(けむ)に巻かれてしまいますね。
テッパンの“使えるフレーズ”と、使うときの注意点は?
壇蜜さんも高田さんも、なかなか面白いフレーズですが、まさか会社の上司や同僚に「今晩、除霊するので帰ります」とか「明日、ニューヨーク出張なんで」なんて言ったら、ちょっとアブナイ人だと思われてしまいます。
では、なんと言って断るのが、いちばん無難で、カドが立たないでしょう? 私のこれまでの経験上、テッパンは、次のひと言です。
「誘ってくださってありがとうございます。すごく行きたいのですが、先約が入っているので申し訳ありませんが今日は失礼します」
──ポイントは3つ。
○“誘ってくれたことへのお礼”を言うこと。
○「本当は行きたいけど、今日は……」と、いかにも残念そうに伝えること。
○余計なウソをつかないこと。
例えば、「田舎の母が出てきているんで」とか「友人の披露宴の出しものの相談で」「10年ぶりの同窓会なんで」など、ヘタなウソは墓穴を掘ります。
ウソをついている人は、聞かれもしないのに理由を自分から言うもの。ウソは言い方や表情で相手にバレてしまいます。
余計なことを言わずに「先約があるんで」というひと言で済ますのが“ミソ”。「先約があって」というフレーズのよいところは、ウソではないということです。たとえ、帰ってからドラマを見たいと思っている場合でも、“先約がある”のは確かですから。
それに最近は、無理に誘うとパワハラなんて言われかねないし、プライベートに踏み込まないという雰囲気があるので、「先約がある」と言われたら、相手もあっさり引き下がるでしょう。
もしも「先約って何?」としつこく聞いてきたら、「プライベートでちょっと」でオーケー。“プライベートでドラマを見たい”のですから、これだってウソは言っていません。
それに“プライベート”という言葉には、「これ以上は聞かないで」というニュアンスが含まれているのもいい。それでもなお、しつこく聞いてくるような相手とは、本気で距離を置きましょう。
えっ? 「ちょっと良心が痛む」ですって?
そういう方は、無理に帰っても楽しくないでしょうから、誘いに乗ればいい。でも、そもそも、当日、急に誘ってくるほうが悪いのです。それに、あなたが行かなければ、相手の標的は別の人に向かうだけのこと。行きたくなければ、テッパンフレーズであっさりとお断りすれば、相手は気を悪くしません。
なお、「急な誘いをされないようにする」ベストな方法は、普段から「定時で帰るキャラクター」とか「飲み会に出ないキャラクター」であること、を周りに定着させておくことです。
そういうキャラクターを周知しておけば、当日に誘いが入ることがなくなりますし、たまに誘いに乗るだけで、「普段は参加しないのに悪いね」なんて、逆に感謝されるようになるかもしれません。
(文/西沢泰生)