『私が恋愛できない理由』の台詞に、衝撃を受けた中学時代
「女の友情、ハムより薄い」
2011年放送のドラマ『私が恋愛できない理由』(フジテレビ系)で、この言葉を聞いたとき、当時中学生だった私は衝撃を受けました。
そのころの私といえば、テニス部に所属して日々厳しい練習に励んでいたスポーツ少女(たまにサボったりもしながら……)。オフの日には、友達とカラオケに行ったり、プリクラを撮ったり。女同士で遊んでいるのがいちばん楽しかったし、「友達しか勝たん!」と思っていたんです。
だから、小倉咲(吉高由里子さん)が「女同士の友情なんて、しょせん信用できない」と言ったとき、「ウソだぁ〜」とツッコんでいた。だって、恋をするようになっても、やっぱり彼よりも友達のほうが大切だったから。
彼には打ち明けることができないコンプレックスも、友達には話せる。それに、“恋はいつか終わってしまうもの”という、固定観念も持っていました。多感な学生時代に、西野カナさんの友情ソングを聴いていた影響も大きいのかもしれません。
「女の友情、ハムより薄い」と言われる理由
私の親友は、失恋をするとカラオケで西野カナさんの『私たち』を歌ってくれていました。<いつか恋に終わりがあっても/私たち永遠でしょ>という歌詞に、何度泣かされたか……。
松田聖子さんの『SWEET MEMORIES』を、♪友だちならいるけど〜こんなにも盛り上がれちゃうし〜と替え歌したこともありました。
でも、年齢を重ねると優先順位が変わってきてしまう。若いころの“恋”と、大人になってからの“恋”では、重みが違うというか。“いつか終わってしまうもの”だった「恋」が、結婚や出産、家族を持つことを考える年齢になると、“一生モノ”のように思えてくるんです。
結婚をしないと思っている人も、生きていくためには仕事をしなければならない。自ずと、友情の優先順位が下がっていってしまうのも仕方がないですよね。
やっぱり、女の友情はハムより薄いのかもしれない。それは、“女同士は揉める”とか安易な問題ではなく、生きていくために友情の優先順位が下がるのは、やむをえないこと。
それでも、なんだか寂しいよなぁ……と思っていたところに、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)がスタートしたんです!
『ブラッシュアップライフ』に学ぶ“一生続く女友達”のつくり方
バカリズムさんワールドが全開の『ブラッシュアップライフ』は、女同士の連帯の強さを、軽やかに描いたドラマでした。
あーちん(安藤サクラさん)、なっち(夏帆さん)、みーぽん(木南晴夏さん)、まりりん(水川あさみさん)の仲良し4人組は、多くの女性が「そろそろ結婚しなきゃ」と焦る時期にもかかわらず、“婚活”関係の話は出さない。
「いいじゃん、このままで。それでさ、おばあちゃんになったら一緒に住もうよ!」と笑い合っている。
この台詞を聞いたとき、「うわっ、めっちゃ新感覚なドラマやん!」と思いました。結婚適齢期の女性が集まって老後について話しているのに、“早く結婚しなきゃ”にならないのが令和っぽいなぁって。
もちろん、あーちんの妹・遥(志田未来)のように、結婚をして子どもを産んで、孫を持つ幸せもある。
でも、女の幸せってそれだけじゃないのかもしれない。未来(老後)の4人が、超ハイテク老人ホームで楽しそうにしている姿を見た瞬間、なんだか生き方が一気に広がった気がしたんです。
ただ、4人がいつまでも仲良くいられるのが、それだけ彼女たちが友情に対して“本気”だから。だって、あーちんとまりりんなんて、なっちとみーぽんを救うために人生やり直してパイロットになったんですよ? そこまで友情を大事にできる子だからこそ、相手からも大事にしてもらえる。
恋人でも友達でも家族でも、大切にしたいと思える人を本気で大事にしていく。それが、幸せな老後を手に入れるための“徳”の積み方なのかもしれません。
(文/菜本かな、編集/本間美帆)