映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のオーディションで、約5000名の中からヒロインに抜てきされ、2013年、ヒロイン・小枝理子役で鮮烈なデビューを果たした大原櫻子さん。映画内で結成したバンドのボーカル兼ギターとして、CDデビューも飾った。以来、俳優とアーティスト、二足のわらじを履き続けている。
2021年10月期のドラマ『つまり好きって言いたいんだけど、』では、主人公を演じたうえ、エンディングテーマ曲『ポッピンラブ!』を自ら作詞・作曲・歌唱した。12月7日には、この楽曲を含む6thアルバム『FANFARE』をリリースした。
多方面で活躍する大原さんは、香りとともに“ほっと解ける”時間を大切にしているそう。自宅で愛用しているというイタリア・フィレンツェ発のナチュラルコスメブランド「DR.VRANJES」のアロマディフューザーや、香りへの“偏愛”ぶりについて、愛嬌たっぷりに語ってくれた。
忙しい日々の中、心を解いてくれるもの
──DR.VRANJESのアイコン的なフレグランスである「ROSSO NOBILE」ディフューザーは、いつごろから愛用していますか?
「これは、3年ほど前に偶然出会って一目ぼれしました(笑)。誕生日のプレゼントを買うために、友達とあるビルのフロアをぐるぐるしていたのですが、すごくすてきな香りが鼻腔をくすぐって。“ちょっと待って。めちゃくちゃ好きな匂いがするんだけど!”って、思わず反射的にその香りの元を探ろうと、とことこと歩いていたら……だんだんと香りに近づいてきて、お店にたどり着けました(笑)」
──驚異的に鋭敏な嗅覚と記憶力ですね。
「ふふふ。それ以来ずっと愛用しています。香りのアイテムはもともと好きで、気に入ると長く使い続けることが多いのですが、人工的なものよりナチュラルな香りが好み。ROSSO NOBILEは、ほのかな甘さやフルーティさを感じつつ、しつこすぎないすっきりした感じもある、すごく絶妙にバランスの取れた香りなんですよ。
あまりに好きすぎて、スタッフさんのお誕生日にプレゼントしたくらいです(笑)。いまでも、百貨店などで買い物をしていて、この香りが漂ってくると“なんて居心地がいい場所なんだろう”って、一気にその場所が好きになるくらい(笑)、大好きな香りです。
ほかには、『ROSY RINGS』のボタニカルキャンドル、アプリコット&ローズの香りも大好き。ろうそくを灯すと、次第にろうが溶けて中の押し花が浮き立ってくるんです」
──ROSSO NOBILEの香りをかぐと、どんな気持ちになるのですか?
「ホーム感があるというか、“家に帰ってきたな”って、解ける感じがするんですよね。私にとって、とてもリラックスできる香りなんだと思います。
そうそう。あるとき、友達になって間もない人のお宅に遊びに行ったら、その家にもROSSO NOBILEが置いてあって。“ねえ、これ好きなの?”って、ますます意気投合しました。そういう感覚が似ている人って、なんかぐっと距離が近づく感じがありますよね」
──子どものころからリラックスできる香りはお好きでしたか?
「このお仕事をするようになってからだと思います。17歳で初めて映画に出演しましたが、それ以前は学生だったので、周りに香水などを身につけている人はいませんでした。撮影現場に行くと、すごく身だしなみに気を配る、おしゃれな方が多くて驚きましたし、そうした人ってたいていすてきな香りがするんですよ(笑)。
自分が好きだなと思う香りに出合うと“何を使っているのですか?”と聞くようになり、次第に香りに興味を持つようになりました。そういえば、デビュー映画の役でも“いい香り~”というセリフがあったのですが、まさに等身大で言っていましたね(笑)。
香りと癒やしが一度に体感できる、アロマテラピーのトリートメントも大好きなんですが、セラピストさんから“自分が心地よいと感じる香りが、そのときに必要な香りなんですよ”と聞いたことがあります。女性は特に季節などによって体調やメンタルの変化も大きいので、“今日はこれが好き”って感じるものが少しずつ変化しますよね。
トリートメントしていただくときも、毎回どの香りがいいかを確認していただいています。ただ、このROSSO NOBILEは、いつどんなときも絶対に好き(笑)。私にとって欠かせない、オールマイティな癒やしです」
個人事務所に独立後、心境の変化があった
──多忙な毎日の中で、自分をいたわる時間を創出しているのですね。
「そうなんだと思います。さっき話したキャンドルをバスルームで灯(とも)しながら、甘い香りに包まれながらぼーっと炎が揺らめくのを眺めたりするのも好きな時間。……って言うと、めっちゃおしゃれな空間を想像するかもしれませんが、いたって普通のお風呂ですよ(笑)。
昔から、そんなふうに日々の中でご褒美タイムを見つけては、小さな目標をクリアしてきたのかもしれません。例えば中学生のころは、“今日はこのダンスレッスンを頑張ったら、スタジオ近くのあのお店でごはんを食べる”とか(笑)。このお仕事をするようになってからは、ますます日々のご褒美やリラックスの重要性を痛感しています」
──心身のバランスを保つためにも、癒やしタイムは大切だと?
「はい。デビューしたてのころは、がむしゃらで常に張りつめていたので、こらえきれなくなってパンクすることも。それがきっかけで、自分を守らないと結局は周りに迷惑をかけてしまうと思ったんです。4年ほど前、個人事務所になったときに携わらせていただいたお芝居がけっこう私にはハードなもので、“うまく切り替えないと心身も悲鳴を上げて自滅しちゃうな”と。それを機に、意識的にうまく息抜きをしたり、スイッチを切り替えるようになっていきました。
個人事務所になってやるべきことは増えましたが、全体像が見えるようになったこともよかったと思います。“なぜ、今これをするのだろう”って把握できるようになると、納得しながら仕事に向き合えるんです」
──今はもうパンクすることはない?
「おかげさまで、なくなりましたね。やっぱり心の余裕は大事だなって。できないことはできないし、明日になればできるようになるかもしれない。“明日があるさ”じゃないけど、それくらいの気楽さも持っていたほうがいいのかなと。
もちろん、ものすごく踏ん張らなきゃならないときもありますよ。そんなときは、妄想します。先輩方を見ていると、出産後にすごくキラキラと輝いている人が多いんです。“守るものができると、こうやって強く美しくなるんだな”って。それをヒントに、“私には大事な子どもがいるから、その子のために頑張る”って自分に言い聞かせます。家族からは、“意味がわからない”とあきれられてます(笑)」
──大原さんは“毎日を楽しむ天才”ですね。いま生きづらさを感じたり、前を向けずに悩んでいる人も多いと思いますが、毎日を楽しむコツってなんでしょう?
「そうですね……。私は身体を動かすことが好きなので、自宅で手軽にできる“宅トレ”の動画もよく見るんです。その中で、“目覚めたあなたが素晴らしい”という言葉があって、びっくりしました。
一歩踏み出すことすらしんどいときって、あると思うんです。そんなときは“目を覚ましただけで立派”とか“ベッドから起き出せたなんてすごい”って、自分を褒めてあげるといいんじゃないでしょうか。そうやって自分を甘やかしているうちに、それにも飽きてきて“踏みだしたい”と自然に思えるようになれるのかなって。そうなれば、いやがおうにも前進できるときが来ると思うんです」
(取材・文/キツカワユウコ、編集/本間美帆)
【PROFILE】
大原櫻子(おおはら・さくらこ) 1996年生まれ、東京都出身。日本藝術大学映画学科卒業。2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の全国ヒロインオーディションで5000人の中から抜擢され、スクリーン&CD同時デビューを果たす。2014年、女優として『日本映画批評家大賞』新人賞を受賞。歌手として『第56回輝く!日本レコード大賞』新人賞を受賞。以降、歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演。さらに12月7日には1年10か月ぶりのアルバム『FANFARE』をリリースした。Twitter→@staff_sakurako、Instagram→@sakurako_ohara
《リリース情報》
New Album『FANFARE』
さまざまな「愛」を歌うアルバムであり、今の「大原櫻子」が歌うことに、こだわり抜いて描かれた作品。
2022年12月7日(水)発売
初回限定盤A:4950円 CD+DVD※MV「Fanfare」+メイキング映像
初回限定盤B:4950円 CD+DVD※特典企画映像「ご褒美企画!? 櫻子のソロデイキャンプ」
通常盤:3300円 CD
※価格はすべて税込み