独特な世界観がやみつきになる、お笑いコンビ蛙亭。
そんな蛙亭のネタづくりを担当するイワクラさんは、テレビや劇場でコンビとして幅広く活躍する一方、トーク番組『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)などではソロで活躍中。
仕事もプライベートもノリにノっており、同世代の女子を中心にポジティブな影響を与えています。
そんなイワクラさんの仕事とプライベートを深掘り。人生の波に乗るコツを教えてもらいました。
(インタビュー前編では、イワクラさんが周囲と良好な関係性を築くために気を付けていることや、愛される人に大事なコツをお伺いしています:記事→蛙亭・イワクラ「愛されるコツはいじられること」垣根を作らない人間関係の円滑ルール)
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「女芸人は恋愛したらおもしろくなくなる」を気にしなくなった
──イワクラさんといえば、仕事もプライベートも上手にバランスが取れていて、順調な印象です。
「そうですかね? まだまだ両立できてないときもあると思いますが。
でも、たしかに最近は仲がよい人と仕事の現場が一緒になることが多くて、前よりも気を張らなくなりました。
プライベートでは、納言の薄幸さんとか、尼神インターの渚さんとかとお仕事終わりに飲みに行かせてもらえて、すごく楽しいです。仕事の話もプライベートの話もできる、刺激し合える関係性の方が増えていくのは、嬉しいなと思います」
──後輩とも、先輩とも仲がよいのですね。もともと仕事とプライベートは、分けないタイプなのでしょうか?
「そうです。今思うと、芸人になりたてのころは、よくない意味でも全然分けられていませんでした」
──よくない意味というと?
「超メンヘラだったので、好きな人に彼女がいることを知って、劇場でワーッて泣いて、先輩に話を聞いてもらうこともあって(笑)。出番に支障が出たり、舞台を飛ばしたりした経験はないのですが、本番のギリギリ前まで泣いていたこともありましたね」
──本番に支障が出ないのは、さすがですね。
「やっぱり仕事がいちばんなので、舞台上では客観的に自分のことを見れるんですよね。たまに舞台上で“この前泣いてたんですよ”っていじられることもあったのですが、そのときは“いじらないでくださいよ”って返せるんです」
──周りから言われたこともあったのですね。
「そうですね。舞台上で言われるのは全然よかったのですが、入りたてのころは、ベタに“女芸人は恋愛したらおもしろくなくなる”って言われることもあって。それを言われて、あんまり恋愛しないほうがいいのかなと思ったこともありました。
でも、冷静に考えたら“女の子と遊びまくってて、おもしろい話のひとつもできてないやつに言われたくねえな”って思えてきて(笑)。“舞台に支障はきたさない、ネタ作りを怠らないなら、同時進行してもいいか”と、考えを切り替えたんです」
──カッコいい……! 最高ですね。
「舞台上で泣いているわけでもないし、フラレたショックで”いま、ちょっとしゃべれないです”って言ったわけでもなく、むしろそういうときの自分を題材にしたネタを作ったり、エピソードとして話したりしているんですもん。いいじゃないですか。
もう“うるせえ”と思って、気にしなくなりました(笑)」
20代から30代で変化したこと。今は好きな人しか残らなくなった
──芸歴10年の間に、20代から30代へと歳を重ねたイワクラさん。ご自身の中で変化したことはありますか?
「昔は仕事の場でキャッキャしているのは、よくないと思っていたのですが、“今はそういう交流の中から生まれる話もあるから、無理に楽屋で硬くいる必要はないな”と思うようになりました」
──それはなぜでしょう?
「パーパーのあいなぷぅの影響が大きいですね。あいなぷぅって、めっちゃアホなんですよ。楽屋に来るとき“ヤッホー!”って言って入ってくるし、一緒にしゃべってても普通ではありえないようなことを話していることもあって。
例えば、以前『有吉の壁』(日本テレビ系)で、ウェディングドレスの小道具を使うことがあったのですが、私のウェディングドレスが白色で、あいなぷぅが青色だったんですね。そのときに“それ、着たい!”ってずっと言ってきて。
最初は冗談だと思ったのですが、ずっと言っていて。“あ、本当に着たくて言っているんだ”と思ったことがあります。そういう素直さを見て、ガチガチじゃなくてもいいかなって思えたんです」
──なるほど。すごく楽しそうに仕事できているんですね。
「それから、20代のころは周りの目をすごく気にしていたなと思います。本当はかわいいものが大好きだし、ネイルも好きなのですが、“キャピキャピしたことを言うな”とか“めっちゃ女やん”って言われないように、そういう部分を出さないようにしていました」
──そうだったんですね。
「でも、そういうこと言ってくる人って、おもしろくないんですよ。私がおもしろいと思っている人は、そんなことを言わない。
それに気づいてからは、できるだけ素の自分でいこうと決めました。
コンプレックスに対してもそう。昔は暗い自分や、しゃべるのが苦手な部分を直そうと思っていたんですけど、芸人の世界に入ってから、いろんな人がいることに気づいて。“私みたいに暗い人がいてもいいんだ”と、思うようになりました。そう思うようになってからは、気が楽になりましたね」
──そういう経験をする方は多い気がします。今まさに悩んでいる人には、なんて声をかけますか?
「結局、そういうことを言ってくる人がいたとしても、その人の価値観でしかなくて。だから、言わせておけばいいと思います。そういう人は何かにつけて、小言を言ってきますからね。
それから“この人とは価値観が合わないな”と思ったら、スッと距離を取るのが大切。そしたら、一緒にいて楽しい人、好きな人しか残らなくなって、今すごく楽しいんです。自分は間違ってなかったんだなと思えます」
人生の波に乗るコツ
──今ノリに乗っているイワクラさん。人生の波に乗るコツってなんでしょう?
「少し重なっちゃうのですが、マイナスのこと、“負のオーラ”からは逃げることが大切かなと思います。友達から暗い内容の相談をされることってありますけど、ちゃんと聞いた後で“じゃあ、焼き肉食べ行こう!”って明るいほうに連れて行きたいんです。“大変だね”って言って、暗いほうに引っ張られないようにしたい」
──なぜ、明るいほうに連れて行きたいのですか?
「一緒にいるときくらいは楽しいことをして、つらいことを忘れてもらいたいんですよ。しんどいときって、しんどいほうしか見られなくなっちゃうと思うのですが、どんなにつらいことがあっても、つらい時間だけじゃないって思ってほしいんです」
──イワクラさん自身は凹んだとき、どうしているのでしょう?
「まだ歩いたことのないところを歩いてみたり、公園で子どもたちが遊んでいるのを見て癒やされたりしています。そういうことをしていると“つらくてしんどいことだけの世界じゃない”と思えるんです」
(取材・文/於ありさ、編集/本間美帆)
【PROFILE】
蛙亭・イワクラ 1990年生まれ、宮崎県出身。2011年NSC(吉本総合芸能学院)大阪校34期生。翌年、相方の中野周平と蛙亭を結成し、2020年4月より拠点を大阪から東京へ移す。その後、『キングオブコント2021』(TBSテレビ)で決勝に初進出し、イワクラ単体では『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)の冠番組を持つなど、多方面で活躍中。現在ではネタ作りも手がけている。 Instagram→@babybabybodybaby
蛙亭のハッピーサマーライブ2023 チケット好評発売中!
日程:2023年6月3日(土)
会場:宮崎県小林市文化会館
開演:①14時00分 ②17時45分
料金:全席指定前売 5000円
出演者:蛙亭/ジェラードン/ロングコートダディ/ニッポンの社長ほか
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