『刀剣乱舞』『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~』をはじめとする2.5次元舞台の人気作に次々と出演し、多くのファンを沼落ちさせている俳優・和田雅成さん。役者生活10周年を迎えた2022年は、バラエティ番組『ろくにんよれば町内会』や『ポップUP!』にレギュラー出演するなど、ますます活躍の場を広げている。
12月29日からは、平成仮面ライダーシリーズ最高傑作といわれる『仮面ライダーW(ダブル)』の続編マンガが原作の舞台『風都探偵 The STAGE』に主演。2023年もさらなる飛躍が期待される和田さんに、舞台の見どころや意気込みを伺いました。また、デビュー10周年を迎えて思うこと、今ハマっているもの、いちばんの癒しなど、31歳のプライベートも語っていただきました。
10周年を迎えた当日に“初変身”
──2022年はデビュー10周年だったんですね。25歳のころに初めて取材をさせていただいたので、もうそんなになるんだなと。
「はい、10周年を迎えました!」
──記念すべき2022年は、東映特撮ファンクラブの配信ドラマ『リバイスレガシー 仮面ライダーベイル』(白波純平/仮面ライダーベイル役)の主演に始まり、本作『風都探偵 The STAGE』で締めくくりますが、1年間に仮面ライダー作品2本に出演することになった心境は?
「俳優になったころから“仮面ライダー”は意識していましたから、その作品に2度も出演できるなんてすごく光栄に思います。役者生活10周年を迎えたまさにその日、デビュー記念日に初めて“仮面ライダーベイル”に変身したんです。
そして10周年を締めくくる作品が『風都探偵The STAGE』。ご縁を感じずにはいられませんね。今回は“仮面ライダーW”に変身するので、仮面ライダー50年の歴史上タイトルライダーに2度変身した役者は僕が初めてなんだそうです。これはずっと言い続けます!」
──それはすごい縁ですね。『風都探偵 The STAGE』は、平成仮面ライダーシリーズの最高傑作ともいわれるテレビシリーズ『仮面ライダーW』の続編マンガが原作ですが、和田さんが思う物語の魅力はどんなところですか?
「『仮面ライダーW』のテレビシリーズは1話30分なので、詳しく描くことができなかった部分もあると思うんですけど、マンガ『風都探偵』ではぐっと深いところまできめ細かく描かれているんです。『仮面ライダーW』で、もっとここを知りたかったという部分も知ることができるので、Wファンの人たちにも愛されているんだなと思いますね。
あとはキャラクターですね。翔太郎とフィリップはもちろんですけど、敵側のキャラクターも面白いですし。翔太郎とフィリップが所属する鳴海探偵事務所の所長の亜樹子もすごく魅力的。『風都探偵』を読んでもっとキャラクターのことがわかり、あらためて『仮面ライダーW』を見直したいなと思いました」
2009年9月から2010年8月にかけ平成仮面ライダー第11作目として放送された『仮面ライダーW』。その正統続編として、2017年8月より「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載を開始し、累計発行部数240万部を超える人気作品となっているマンガ『風都探偵』を初の舞台化。『風都探偵』は2022年8月にアニメ化もされ、毎週放送・配信するたびにその回がトレンド入りするなど、『仮面ライダーW』放送時からのファンはもとより、『風都探偵』から知ったというファンも多く、仮面ライダーシリーズの中ではより幅広い世代に浸透している作品。
【STORY】
風の街──風都。
かつて街を脅かした組織「ミュージアム」は仮面ライダーたちによって破滅へと追い込まれた。だが、組織によって大量生産された危険なアイテム「ガイアメモリ」は各所に散在。感情吹きすざぶ風都でひそかに流通し、メモリの力で怪人「ドーパント」へと変貌する者は後を絶たなかった。優しさゆえに煮え切らない“ハーフボイルド”探偵、左翔太郎(和田雅成)。頭脳明晰探偵にして彼の永遠の相棒、フィリップ(木津つばさ)。ふたりが所属する鳴海探偵事務所には、今日も奇妙な依頼が持ち込まれる。
ある夜、翔太郎は埠頭で謎の美女と出会う。それは「T字路の魔女」と噂される存在であった。彼女にバッグを盗まれたという坪崎忠太からの依頼を受け、翔太郎は魔女探しに奔走。「ときめ」と名乗る彼女を追う中で、風のない見知らぬ街へと足を踏み入れるのだった。
翔太郎&フィリップ、ふたりでひとりの探偵で、仮面ライダーWの新たなる事件が幕を開ける──。
僕も“ハーフボイルド”です(笑)
──今回演じる、左翔太郎はハードボイルドを気どる“ハーフボイルド”な私立探偵。翔太郎の魅力はどんなところでしょうか?
「まず、誰よりも風都という街を愛していて、街を守りたい、街の人を守りたいと思っているところですね。ハードボイルドな探偵を目指しているんだけど、不器用だったり、ちょっと抜けている部分があったりして、周りからは“ハーフボイルド”って言われちゃう。カッコつけきれないところがある意味、愛されるんですよね。『仮面ライダーW』で桐山漣さんが演じられた翔太郎をリスペクトしつつ、自分なりの舞台版の翔太郎をお見せできたらなと思います」
──和田さんと左翔太郎の共通点はありますか?
「不器用なところじゃないですか。僕も“ハーフボイルド”です(笑)。自分で言うのもなんですけど、翔太郎にすごく合っているなと思います」
──相棒・フィリップ役の木津つばささんとは、舞台『刀剣乱舞』でも共演されていますが、今回の共演で楽しみにしていることは?
「フィリップ役がつばさだと聞いたときは、楽だなって思いました。もともと関係性がある役者さんですし、すごく器用な人なので。6歳年下ですけど後輩という存在ではないので、特に自分がリードする必要もないですし、フラットで稽古場にいていいなと感じました。今回はだいぶ深い関係になるので、舞台上で最高の相棒を表現できたらいいなと思いますね」
──お客様にはどこを注目して観てほしいですか?
「まずは、目の前で“わっ! 変身した”っていう、その温度の上がり方を楽しみにしてほしいですね。脚本・演出の毛利亘宏さんは、シンプルでお客様が見やすい舞台を作るのが上手な方ですし、テレビの仮面ライダーシリーズの多くの脚本にも携わっていて、舞台『仮面ライダー斬月』-鎧武外伝-の演出もされているので、期待して観に来ていただきたいなと思います。さらに会話劇としての面白さも魅力だと思うので、そこも楽しんでもらいたいですね」
ふんどしを締め直しました
──役者生活10周年で、今あらためて思うのはどんなことですか?
「25歳のころ取材していただいたときに、役者じゃなくても、人生をかけて何か自分の好きなことを続けてられていたらいいな、というお話をしたと思うんですけど。それが、今は役者しかないなという思いに変わりました」
──何か分岐点があったんですか?
「コロナ禍もあるかもしれないです。しばらく舞台ができなくて、久しぶりに帰ってきたときに、楽しかったのと“あ~ヤバい、もっと芝居したいな”って思ったんですよね。ふんどしを締め直したというか“よし、俺はこれで生きていくぞ!”と」
──一生の仕事としてやっていくと気持ちが定まった?
「そうですね。10年たって、ご縁もあって仮面ライダーをやらせていただきましたし。自分が昔から思っていることに向けて頑張れば、実を結ぶんだと。もうずっと言っていますけど朝ドラに出たいっていう夢も、たぶん叶(かな)うと思っています」
──朝ドラ、楽しみにしています。30代になって何か心境の変化はありましたか?
「自分の中ではないのですが……。先日、『映画刀剣乱舞-黎明-』の撮影で4年ぶりに前作『映画刀剣乱舞-継承-』のときのスタッフにお会いして。監督とプロデューサーから“芝居もアクションも成長していてびっくりした。役者としての色気が出てきたよ”と言っていただいて。それはすごく嬉しかったですね。
31歳になって、任せられるポジションみたいなものも変わってきましたし、若い部分も持っておきつつ人としても役者としても、どんどん成長していきたいです」
愛猫のアメリカンショートヘアに夢中
──今、プライベートでの癒しはどんなことですか?
「猫ですね。5か月前から、猫と暮らしはじめたんです。アメリカンショートヘアのオスで、生後7か月で3.2キロになりました。名前はカタカナで“ミヤビ”っていいます。僕の名前の “雅”の字がほぼ家族全員の名前につくので、家族の一員だよってことで“ミヤビ”にしました。
アメショーはほんとに可愛いですよ。今はこの子のために、毎日生きて帰らなきゃと思ってます」
──最近ハマっていることはありますか?
「昔からトレーディングカードを集めるのが好きだったのですが最近、たまたまカードショップに立ち寄って、そこからまた、どハマりしました。遊戯王とポケモンカードに、とんでもなくハマっていますね(笑)。『風都探偵 The STAGE』をやることが決まって、『仮面ライダーバトル ガンバライジング』というトレーディングカードの『仮面ライダーW』のレアカードも集めました」
──大人買いですね(笑)。
「そうなんですよ。先日も、仕事終わりに秋葉原のカードショップを20軒くらい巡りました。16時半くらいに着いて、気づいたら20時半(笑)。家で集めたカードを眺めるのが至福の時間ですね」
──最後に、31歳の和田さんの目標を教えていただけますか?
「朝ドラ出演の目標は変わりません。ひとつひとつの仕事に真摯(しんし)に向き合っていれば、その先につながっていくと思います。目標というか生涯をかけていきたいのは、家族に僕が活躍する姿を見てもらいたいことと、応援してくださる方を元気にしたい。その思いは変わらないです」
(取材・文/井ノ口裕子)
《PROFILE》
和田雅成(わだ・まさなり) 1991年9月5日、大阪府生まれ。2012年、舞台で俳優デビュー。主な出演作に、舞台『刀剣乱舞』『弱虫ペダル』『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~』、ミュージカル『薄桜鬼 志譚』『家庭教師ヒットマン REBORN! the STAGE』、ドラマ『テレビ演劇 サクセス荘』(テレビ東京系)、『REAL⇔FAKE』(MBS/TBS)、『あいつが上手で下手が僕で』(日本テレビ系)など。現在、『ろくにんよれば町内会』(日本テレビ系・火曜24時59分~25時23分)レギュラー出演中。2023年1月スタートのドラマイズム『REAL⇔FAKE Final Stage』出演。『映画刀剣乱舞-黎明-』(2023年3月)、『ゲネプロ★7』(2023年4月)の公開も控えている。
●公演情報
『風都探偵 The STAGE』
【原作】石ノ森章太郎
【連載】『風都探偵』(小学館発行『週刊ビッグコミックスピリッツ』)
【脚本監修】三条陸
【脚本】西駿人 毛利亘宏(少年社中)
【演出】毛利亘宏(少年社中)
【音楽】中川幸太郎 鳴瀬シュウヘイ
【出演】和田雅成 木津つばさ 生駒里奈 上野凱/能條愛未
なだき武 相澤莉多 松本寛也 梅澤裕介(梅棒) 伊藤孝太郎 君沢ユウキ 他
【日程・会場】
〈東京公演〉2022年12月29日(木)~2023年1月15日(日)サンシャイン劇場
〈大阪公演〉2023年1月19日(木)~1月25日(水)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ