人間とともに社会で生きる猫たちの姿を、一歩一歩あゆむように伝える連載「猫の道フミフミ」。第7回は地中海のマルタ島を旅したときに出会った猫たちを紹介します。
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地中海に浮かぶ島「マルタ共和国」は、猫好きならご存じの方も多い“超”がつくほどの猫大国です。実際、4日間の滞在中に100匹を越える猫たちと出会うことができました。
だからといって、街中の至るところに猫がいるわけではありません。猫も人と同じように過ごしやすいところにいるんです。それは猫好きのマルタ人の日々のお世話が届く場所。水とご飯と寝床が用意されている場所が猫スポットとなっています。そこは多くの旅行者が訪れる観光スポットでもあります。
そんな猫スポット&観光スポットを3か所レポートします。
世界遺産の街【バレッタ】
バレッタの中でも、ほとんどの観光客が訪れるアッパー・バラッカ・ガーデン。港を一望できるビュースポットがあり、敷地内には木々や噴水や雰囲気のいいカフェもあって静かなひとときを過ごせます。
そして猫たちも、そのカフェを拠点にまったりと過ごしています。写真撮影やなでなでにも応じてくれるフレンドリーな猫たちです。バレッタ自体は旧市街であり、公園や空き地が点在しています。アッパー・バラッカ・ガーデン以外の公園も時間があれば覗(のぞ)いてみてください。子猫に出会えるかもしれません。
北東海岸沿いの街【スリーマ】
スリーマは海沿いに美しい遊歩道があり、カフェやお土産物屋などさまざまな店が軒を連ねる街です。大きな猫の像のあるインディペンデンスガーデンでは、たくさんの猫たちが暮らしています。
猫ハウスもいくつかあり、地元の人たちの手厚い世話を受けているのがわかります。ここの猫たちも人懐っこいというか、観光客に対してマイペースを貫いていて自由気ままに過ごしている印象でした。
きらびやかな港街【スピノーラ湾】
セントジュリアンも海沿いの街ですが、海岸沿いには多くのレストランがあり、夜遅くまでにぎわうきらびやかな港街です。特にスピノーラ湾はオープンテラスから臨むマルタストーンと呼ばれる蜂蜜色の建物と海の青色のコントラストが絵になります。
漁師と猫がセットになったブロンズ像も設置されていて、こんなところもマルタの人々の猫好き度合いがうかがえます。
現在、マルタ島への日本からの直行便はありませんが、時間をかけてたどり着いた先の美しい景色の中で猫とふれ合い、ついでに素晴らしい世界遺産も足を運んでみる(順序が逆かもしれませんが)、猫好きの方にそんな贅沢な旅はいかがでしょうか。
《執筆者プロフィール》
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ) 盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に『ソトネコJAPAN』(洋泉社)、『ワル猫カレンダー』『ワル猫だもの』(マガジン・マガジン)、『踊るハシビロコウ』(ライブ・パブリッシング)、『ハシビロコウカレンダー』『ハシビロコウのふたば』(辰巳出版)など。企画・デザインでは、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ねこ検定』(ライブ・パブリッシング)『ハシビロコウのすべて』『ゴリラのすべて』(廣済堂出版)などがある。