かつての大人気番組、アメリカ横断ウルトラクイズ(以下、ウルトラクイズ)。その第10回で決勝まで行かせていただいた私の体験から、これまでに5回、ウルトラクイズ裏話をお伝えしてきました。
●第1弾:伝説の『アメリカ横断ウルトラクイズ』、砂漠を歩いて帰るなど、罰ゲームの“裏側”
●第2弾:「会場付近で3時間待機」「本番前はずっと目隠し」、『アメリカ横断ウルトラクイズ』準優勝者が明かす収録の“謎”
●第3弾:伝説の番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』に台本はあったのか!? 準優勝者が語る“撮影秘話”
●第4弾:『アメリカ横断ウルトラクイズ』準優勝者、ニューヨークのホテルで起きた“事件”を激白!
●第5弾:【アメリカ横断ウルトラクイズ裏話】第10回の準優勝者が、NYでの決勝前夜に司会の福留功男アナと話したこと
今回は、その第6弾。アメリカ横断ウルトラクイズの挑戦者たちが、アメリカ大陸を横断中に、どんな食事をしていたのか? その食事代は? という話です。
挑戦者が体調を崩さないように
ウルトラクイズの挑戦者たちの食事は、ホテルでの朝食や夕食、ホテル外のレストランでの食事、バス移動中にドライブインやファストフード店などでの食事がありました。
これらのお世話をしてくださるのが、旅に同行している旅行会社の方。番組の最後にテロップで出ていたように、近畿日本ツーリスト株式会社の添乗員です。
街のレストランへの引率はもちろん、宿泊しているホテルで食事をするときも、一緒に付き合ってくださいました。これまでに書いた記事でもお伝えしているように、番組スタッフは意識的に挑戦者と距離をとっていましたから、挑戦者たちがもっとも長く顔を合わせていたのは添乗員さんということになります。
この添乗員さん。とても和食が好きな方で、ホテル以外で食事をするときは、何度か現地の日本食のお店(と言っても高級店ではなく、大きな和食ファミレスという感じのお店)に連れて行ってくれたものです。
たしかに、ホテル食やファストフードの食事が続いて「お米のご飯」に飢えているときの和食レストランは、とてもありがたかったのを覚えています。ごく普通のトンカツとご飯が、やけにおいしく感じられました。
一方で、当時の私は「せっかくアメリカに来ているのだから、現地の人たちが食べているガチガチのアメリカンフードのお店で食べたい」などと思うこともありました。
しかし、あとから考えると、あれは、添乗員さんが和食好きという理由だけでなく、挑戦者たちの体調を考えて、食べ慣れた和食のお店を選んでくれていたのでは? と思っています。
挑戦者の「お食事代」はタダ?
ウルトラクイズから帰国して、人からよく聞かれた質問に、こんなものがありました。
「挑戦者たちって、アメリカを横断する間、宿泊と食事は無料だったの?」
はい。宿泊代は番組持ちでした。
そして、食費は、自由時間に挑戦者が外出して食べる場合は自腹。挑戦者が集まって食事をするときは、飲み物以外はタダでした。
飲み物とは、食事のときに飲むビールとかジュースですね。飲み物もタダだと、「こりゃー、いいや」と、ガンガン飲んじゃう挑戦者がいないとも限りません。ベロンベロンになるまで飲んで、次の日の本番で二日酔いのままクイズをやられたらシャレになりませんから、「飲み物代は自前」も納得です。
真相は知りませんが、かつて、そんな挑戦者がいて、それ以来、飲み物代は自前になったのかも……。
現地のレストランに行ったとき、印象に残っているのは、すぐそばで食事をしているアメリカ人との「胃袋の違い」でした。
日本人なら5人くらいで分けてもおなかいっぱいになりそうな、山盛りのフライドチキンを、おじさんが1人でビールを飲みながら見る見る平らげてしまうのを目撃したこともありました。全員とはいいませんが、『ギャル曽根』並みの食べっぷりをしている方を何人も見かけました。
ウルトラクイズでは、本番前の日の夕食は「明日負けて帰国する誰かとの、最後の晩餐(ばんさん)」です。食事をしながら、ふと、「この中の誰かとは、明日はもうお別れなんだ」と思うことがありました。
以前にもお伝えしたとおり、私の参加した第10回ウルトラクイズは、アトランタで挑戦者を北米組と南米組に分けました。そのアトランタでの「お別れクイズ」前夜の夕食は、広い部屋で全員が同じ長テーブルを囲むことができる和食レストランでの食事でした。
たしか、司会の福留功男さんも、珍しく同席してくださっていたと思います。
実はあの日の夕食は、明日のクイズでメンバーが半々に分かれることを知っていた番組スタッフが、少し豪華な「最後の晩餐」を用意してくれたのかもしれない……と、あとになって思いました。
(文/西沢泰生)