「いつの間にか人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに、感慨を覚えております」
2022(令和4)年12月9日、50代最後の誕生日を迎えた皇后雅子さま。1993(平成5)年6月9日、29歳と半年のときに結婚して皇室に入り、そのときから数えてちょうど29年半の節目であることを明かされました。
平成の皇太子妃時代から令和の皇后となった現在まで、雅子さまはさまざまな機会に印象深いお言葉を残しています。そんな雅子さまの語録を編集部が厳選し、前編の記事では天皇陛下への感謝や皇太子妃としての覚悟が表れる言葉を紹介しました。
後編では長女・愛子さまに注ぐ愛情や周囲の人々への感謝、そして皇后としての真摯(しんし)なお気持ちがうかがえるお言葉を届けます。
愛子さまの誕生で母親としての思いを明らかに
ご結婚から8年後、待望の長女・愛子さまが誕生。以後、折にふれて雅子さまは母親から見た愛子さまの成長ぶり、そして一緒に子育てをされる天皇陛下への感謝を述べられています。
◎「生まれてきてありがとう」
2001(平成13)年12月1日の愛子さまご誕生から4か月後の記者会見で、雅子さまは母親となった喜びを素直に表しました。初めてご自分の胸元に連れてこられた愛子さまの姿に「生まれてきてありがとう、という気持ちでいっぱい」になったことを述懐。「生命の誕生、初めておなかの中に小さな生命が宿って、育まれて、そして時が満ちると持てるだけの力を持って誕生してくる、そして外の世界での営みを始めるということは、なんて神秘的で素晴らしいことなのか」と話すうちに感極まり、言葉に詰まる場面が印象に残ります。
◎「皇太子殿下にも「感謝状」を差し上げてもよろしいものでしょうか」
2018(平成30)年、ご結婚25年に際しての文書回答より。銀婚式の記念として天皇陛下は「感謝賞」「努力賞」と銀メダルを雅子さまに贈りたいと綴りました。雅子さまのお答えは「(天皇陛下が)いつも傍らで私を支えてくださいましたことに感謝の気持ちでいっぱいでございます」とのことで、「感謝状」がぴったりだと思われます。
◎「愛子には、これからも感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、さまざまな経験を積み重ね、心豊かに成長していってほしいと願っています」
現在21歳の愛子さまは学習院大学文学部の3年生。オンライン授業を受けながら日本文学の研究に取り組むほか、宮中祭祀(さいし)や新年祝賀の儀に出席するなど成人皇族の務めも果たしています。雅子さまは2018(平成30)年の誕生日に、当時高校2年生の愛子さまについて「この年齢での経験というものは、その後の人生にとっても貴重な財産になる」と母親としてのお考えを述べました。
令和の皇后として国民に寄り添うお気持ちを
待ち望んでいた海外訪問が久しぶりに実現した翌年、雅子さまは帯状疱疹をきっかけに長い療養生活に入ります。その後、天皇陛下が「雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と発言したことは大きな波紋を呼びました。愛子さまも小学校時代に登校が不規則になるなど試練が続きましたが、ご一家は強い絆で乗り越えてきました。
そして2019年5月1日、雅子さまは上皇后美智子さまの後を受け継ぎ、令和の皇后陛下に。
◎「外国訪問をすることがなかなか難しいという状況は、正直申しまして私自身その状況に適応することになかなか大きな努力が要ったということがございます」
2002(平成14)年12月、天皇陛下と雅子さまはニュージーランドとオーストラリアをご訪問。実に8年ぶりの外国公式訪問でした。米国の大学を卒業し、海外生活が長かった雅子さま。それだけにご結婚後、外国訪問が少ない状況はどんなにか悩ましいものだったのではないでしょうか。
◎「周りの方々にも助けていただきながら、できることが少しずつ増えてきました」
2004(平成16)年に適応障害であることを公表して以来、治療を続けている雅子さま。2017(平成29)年の誕生日には周囲の支えに感謝したうえで「できる限りの務めを果たせればと思い、努力してまいりました」と所感を綴(つづ)られました。近年は地方への泊まりがけのご公務に出席することも増え、体調に波はあるものの回復途上にあるとのことです。
◎「これまで以上に皆でお互いを気遣い、支え合っていける社会となっていくことを願っています」
前年に続き、新型コロナウイルスの感染に見舞われた2021(令和3)年。雅子さまは誕生日のご感想で自殺者が増えたことに触れ、経済的に追い込まれたり、孤独に苛まれる人々のことを憂いました。2014(平成26)年にも「痛みを分かちあいながら皆で手を携えて歩んでいくことが、これから先ますます大切になるのではないか」と綴られていますが、このお言葉の前に「人々がお互いを思いやる気持ちを大事にし、特に弱い立場にある人々をいたわり」と書かれています。ご病気を経験されている雅子さまだからこそわかる、人を思いやる大切さや弱者へのいたわりの気持ちが伝わってきます。
(文/fumufumu news編集部)