人間とともに社会で生きる猫たちの姿を、一歩一歩あゆむように伝える連載「猫の道フミフミ」。第5回は猫の島として知られる田代島(宮城県石巻市)の旅レポです。
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田代島といえば言わずと知れた有名な猫の島ですが、この島ならではの「港の猫」や「集団猫」というふうに「●○猫」を思いつくまま考えてみました。まずは、石巻発のフェリーを下りて最初に出会う港の猫たちをご紹介。田代島が猫の島として知られはじめたころは、港周辺がいちばんの猫スポットでした。
現在はその座を「島のえき」に明け渡してしまいましたが、代々、港周辺を縄張りにしている猫たちもいます。それに映えるといっては何なんですが、海と船をバックにした雄大な姿や、ブイや魚網などをアクセントに猫写真を撮れるのも港の猫ならではです。
猫たちが道案内してくれる!?
港の猫たちをしばし撮影した後、集落に入ります。島民の家々が並ぶ中に手作りの猫ハウスもあって、微笑ましい。猫の世話を積極的にしている家の付近では集団の猫を目撃できます。
田代島はトイレは充実しているし、道案内の看板もたくさんあって、観光客に優しい島です。まあ、猫たちがあちこちいるおかげで道に迷うことはないでしょう。道を進むと猫だまりの猫たちと遭遇する散策は、ご褒美をいただいたような気がして猫好きならとても楽しいものです。
廃校を利用した観光拠点「島のえき」も猫だらけ
集落を抜けて山道に入ります。道はゆるやかな傾斜になっていて、運動不足の身では、ちょっと息切れがしてきます。でも、そんな疲れもふらっと出てくる猫の姿で一瞬のうちに吹き飛んでしまいます。
上り坂が一段落し平らな道が続いた後、開けた空間が現れます。そこが廃校を利用した施設「島のえき」。建物を中心にざっと30匹以上いる猫たちの住処(すみか)です。もちろん「島のえき」なので食事、おみやげ、トイレなど観光客の拠点でもあります。若い猫たちは木によく登り、大人猫たちは集団でまったりしています。元学校らしく、猫の生徒であふれているといったところでしょうか。「島のえき」を後にして10分ほど先に進むと「猫神社」があります。
いかがですか、まさに猫好きの聖地と言っていいほど猫三昧できる田代島。島に宿泊して早起きすれば、早朝港で漁師さんから魚をもらっている姿も目撃できるかも。ぜひ田代島を訪れてみてください。
《執筆者プロフィール》
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ) 盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に『ソトネコJAPAN』(洋泉社)、『ワル猫カレンダー』『ワル猫だもの』(マガジン・マガジン)、『踊るハシビロコウ』(ライブ・パブリッシング)、『ハシビロコウカレンダー』『ハシビロコウのふたば』(辰巳出版)など。企画・デザインでは、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ねこ検定』(ライブ・パブリッシング)『ハシビロコウのすべて』『ゴリラのすべて』(廣済堂出版)などがある。