ツイッターとインスタグラムの合計フォロワー数は160万超。「#インスタグラビア」のハッシュタグを付けてインスタグラムに自撮りのグラビアを投稿し、一気に注目を集めた似鳥沙也加さん。今年9月にはファースト写真集『Ribbon』、11月には電子写真集の『蝶々結び』(ともにKADOKAWA刊)をリリースして、グラビアアイドルとしてますます波に乗っています。
インタビュー前編では、写真集に込めた思いから、引きこもりだった過去のエピソード、いち芸能人とファンの関係にとどまらない、彼女ならではのファンとの距離感について、根ほり葉ほり聞いてみました。
ファンと私は互いに支え合う、仲間の関係性
──9月28日に初の写真集『Ribbon』、11月28日にアザーカットの電子写真集『蝶々結び』をリリースしました。この2冊に込めた思いを教えてください。
「芸能生活を始めて4年ほど経過するので、これまで応援してくれたみなさんに感謝を伝える意味で写真集をリリースしました。ちょっと露出の面で話題になってるところもありますが、作品としていちばんキレイな形で残したいという思いが強いので、露出についてはそこまで重視していないんです。1冊のストーリーの中で、流れ的に脱いだほうがキレイに見える場面、変に隠さずナチュラルで見せたほうがいい場面を意識して作り上げました。ファンのみなさんが手に取ってくれたとき、“本当に似鳥ちゃんを応援してきてよかった”と思ってもらえたらうれしいですね」
──『Ribbon』と『蝶々結び』、うまくリンクしているタイトルはどのように決めたのでしょうか?
「私は引きこもりだった過去があるので、同じような境遇のファンの方が多くいます。ファンと芸能人というよりも、互いに支え合う仲間、という感じの関係です。今でも精神的につらいときはブログで素直な気持ちを伝えますし、それはファンの方も同じです。そんな私とみなさんを結ぶ意味で『Ribbon』と名づけました。リスタートするという『reborn(リボーン)』という意味もかけようという思いもあって。私からのプレゼントを開けてもらうという思いも込めて『Ribbon』と『蝶々結び』に決めたんです」
──グラビアでの堂々としたたたずまいからは、引きこもりだった過去を微塵(みじん)も感じません。
「家では遮光カーテンですし、太陽は今でも怖いです(笑)。私って、どストレートな表現が苦手で、インスタのグラビアでは雰囲気を重視しています。“女の人の胸が好き!”という人以外の目にも止まるような、1枚の絵として完成する作品を目指してるんです」
──グラビアをメインに活動していますが、DVDはリリースせず、撮影会もない。そこは戦略ですか?
「それでグラビアアイドルと名乗っていいのか不安ですが(笑)、王道ではないのは確かですね。よくも悪くもこだわりの強い作品、みなさんの印象に残る作品を残したいと思っています」
同席のマネージャーさん「本人がインスタを始めたのも露出が目的ではなく、作品として残すという点に重きを置いています」
実はU.F.Oと一平ちゃんが大好き
──グラビアの仕事を続けるにあたって、体型維持の秘訣は?
「私って体脂肪は平均よりも多いんです。胸は脂肪なので全体の体脂肪は増やして、代わりに内臓脂肪をめちゃくちゃ減らしてます。運動は腹筋のみですね。撮影前には体脂肪になるものを食べて、少し体重を増やします。今回の『Ribbon』では太るために牛乳をたくさん飲みました。私は気分の浮き沈みによって太ったり痩せたりするので、グラビアを始めてからいろんな体型を経験してきました。拒食症みたいなダイエットをしていた時期もあるので、同じような悩みを持つ女子からの相談を受けたこともありましたね」
──食生活はかなり気をつけてるんですか?
「普通ですね、わりと食べます。U.F.Oが好きで、マヨネーズかけちゃいます(小声で)」
──カップ焼きそばにマヨネーズ、一平ちゃんでなくてU.F.O派ですか。
「一平ちゃんもおいしいです(笑)」
「新・似鳥沙也加」に挑戦したアパレルとのコラボ
──11月にはスニーカーショップのatmos(アトモス)とコラボして、Tシャツやポスターなどをリリースしました。今までにはない新しい試みですね。
「私の写真を絵師さんがイラストに起こしてTシャツやポスターにしたり、モノクロのフォトブックを作りました。“新・似鳥沙也加を出したい”と言っていただいて、ちょっと露出は少なめの作品に仕上がってます」
──こちらの『A.C.U. x 似鳥沙也加 ART BOOK』は新宿のゴールデン街で撮影したとか。
「そうです、真夏のゴールデン街です。もう、朝から飲み屋のお客さんが歌っててスゴい現場でした(笑)。このアートブックは1枚1枚を部屋に飾れるよう綴(と)じてないんですよ。ぜひみなさんのお部屋に飾ってください」
──ドレスとダブルのライダースジャケットを合わせた衣装が斬新ですね。私はこのフロントを閉めたカットが好きです。夏にライダースは大変だったと思いますが。
「ありがとうございます。撮影は確かに大変でした。でも、今までとは全然違うテイストで撮っていただいて、私としてもしっくりくるカッコいい作品に仕上がってます」
つらかった学校生活も、今となっては笑い話に
──ファッション誌『bis』(光文社刊)の11月号には、似鳥さんの執筆した短編小説『スモールワールド・イン・カーテン』が掲載されました。学校の給食の時間のドキドキ感とか、カーテンにくるまって安心する様子が描写されていますが、これらは似鳥さんの実体験から来ているのでしょうか?
「はい、私の実体験です。読者層が若い雑誌なので学生時代の思い出をテーマにしました。中学校時代、教室に入れない生徒が集まる専門のクラスがあって、私はそこで自習してたんです。学年も性別もバラバラで、10人もいないクラスでした。当時は学校の中でも人に会いたくなくて毎日大変な思いをしてましたが、今となってはこうやって面白く振り返ることができるということを伝えたかったんです」
──似鳥さんの「人に会わずに目的地にたどり着くこと」という特技はそのころに磨かれたものですか?
「このときに学んだと思います。今でも駅に行くまでに人と会わないよう、サッと隠れられますから(笑)。長年続けてるとアンテナが敏感になって、人が来そうな場所とそうでない場所の違いがわかるようになるんです。鍛えられました(笑)」
何よりも大切なファンとの時間
──似鳥さんはアルバイト経験も豊富とお聞きしました。印象に残っているバイトを教えてください。
「アイスクリームの工場は3年くらい続きました。流れてくるアイスケーキにイチゴをのせる仕事でしたが、イチゴがなくなると“イチゴお願いします”って言わなきゃいけないんです。人前で話すのが怖くて、それだけでお腹が痛くなってしまって。スーパーのレジで人に会うのも苦しかったですし、一つひとつどうやって工夫したらいいのか考えながら過ごしてました。それは今もですけど」
──その症状は今も改善されてないんですね。
「今でも全然、緊張します。毎日のように夜は悩んでますし、私は今のことしか考えられないので、小4くらいから明日生きられるかどうかずっと不安で闘ってきました。そんな今の私でも応援してくれる方がたくさんいるので、ここで弱ったらダメだと言い聞かせてます。ファンのみんなより、ほんのちょっとでいいから強くいたい。みんなの悲しい話、つらかった話を全部受け入れる体勢でいないと恩返しができないと思っているので、今日を頑張れるんです。だから私にとって、イベントでファンのみなさんと会える時間はとても大切です」
◇ ◇ ◇
インタビュー後編(12/28 20:00公開)では、ファンとの向き合い方や将来のキャリア設計、引きこもりや不登校の生徒に伝えたいことなどを聞いていきます。
【後編:引きこもり経験のあるグラビアアイドル・似鳥沙也加が同じ境遇の人に伝えたいこと「無理に克服しなくてもいい。私もそうです」】
(取材・文/松山タカシ)
《PROFILE》
似鳥沙也加(にとり・さやか)
1993年生まれ、福岡県出身。素人時代にインスタグラムで自撮りのグラビアを掲載する「#インスタグラビア」で人気に火がつき、現在フォロワー数は110万人以上。多くの雑誌の表紙を飾るほか、2022年4月には自身初めての舞台『誰かも知らない。』に出演するなど、活躍の幅を広げている。
《Information》
1st写真集『Ribbon』(KADOKAWA)が4度目の重版決定! 全ページ本誌未収録、デジタル写真集『蝶々結び』も好評発売中。atmos×似鳥沙也加のコラボ商品も公式サイトにて販売中。最新情報はインスタグラムにて。