空港では天皇陛下をサポートされるような余裕も
9月20日夜、英国・エリザべス女王の国葬への参列を終えて帰国された天皇皇后両陛下。皇后雅子さまの表情は、出発前の緊張していたご様子とは変わり、笑顔が垣間見られるものだった。
陛下が即位して初の外国訪問。英国へは2020年5月に、両陛下が即位後、初めて訪問する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で延期となっていた。雅子さまにとっては、2015年のトンガ王国を訪問されて以来、約7年ぶりの外国訪問となった。
「英国のエリザベス女王の国葬(9月19日)に両陛下で参列できたことは、雅子さまにとって大きな自信につながったのではないでしょうか。空港施設では少しお疲れのご様子の陛下を補佐なさるような、余裕のあるしぐさまで感じられました」(宮内記者)
実際には、療養中の雅子さまにとって、突然の英国行きは努力を要するものだったといわれる。
17日、羽田空港から政府専用機で15時間のフライトを経て、ロンドン郊外のスタンステッド空港に到着。両陛下は国葬を鑑みて機内で黒のスーツに着替え、黒のマスク姿でタラップを降りてこられた。
翌日、チャールズ国王主催のレセプションには、陛下おひとりでご出席。チャールズ新国王に直接、上皇上皇后陛下のお気持ちも合わせた弔意を伝えられたという。
次にエリザベス女王の棺が置かれたウェストミンスターホールを弔問して、お別れの挨拶をなさった。陛下は、オックスフォード大に留学なさっていた皇太子時代に、エリザベス女王から迎えられた数々の優しさを思い出されたのだろうか。
久しぶりとなる国体へのご出席にも意欲を
滞在するホテルでは、雅子さまが国葬に万全の体調で臨まれるため、静かに過ごされていた。
「愛子さまとオンラインでお話しなさったそうです。母親の多くがそうであるように、雅子さまにとっても愛娘の愛子さまの声を聞くだけで癒されたのかもしれません」(宮内庁関係者)
国葬には両陛下で参列し、70年にわたり日本の皇室との交流を深めたエリザべス女王を哀悼した。葬儀後の陛下は、女王に対する想いと天皇として代々にわたる英国との関係を守り抜いたことに安堵されたのではないかといわれた。
「雅子さまも皇后として陛下のお気持ちに寄り添えたことは、何よりもうれしかったのではないでしょうか」(雅子さまを知る外務省時代の友人)
帰国後の雅子さまは確実に回復への道を大きく歩まれているようだ。
「コロナ禍により御所でのオンラインの公務が多くなったことは、ご療養中の皇后さまにとっては少し休める時間が増えたのではないかと思われがちですが、そういうわけでもないように感じます。やはり各国の王族たちとの交流や国民との会話など、人々と直接ふれ合うことのほうが生気を感じられているようにお見受けします。皇后陛下としての務めをなさりたいと願われているのではないでしょうか」(宮内庁関係者)
10月1日には約3年ぶりとなる主要な公務の「第77回国民体育大会」(栃木県)へのご臨席が予定されている。外国訪問の疲れもあることから、1泊の予定が日帰りに変更されたが、上皇上皇后夫妻から受け継がれた大切な公務のひとつだけに臨まれる思いは強いという。
沿道で心待にしているであろう国民のかけ声に、どんな笑顔を見せていただけるのかが楽しみだ。
(取材・文/友納尚子)