「事件には驚いた。ふだんはおとなしい人なのに、なぜ刃物を振り回すようなまねをしたのか」
と容疑者を知る地元関係者はポツリ。
事件が起きたのは9月15日午前10時すぎのこと。神奈川県茅ヶ崎市の結婚相談所を訪れていた男が刃物のようなもので70代の経営者夫妻を傷つけて逃走し、数時間後に殺人未遂の疑いで県警茅ケ崎署に緊急逮捕された。市内に住む自称建築業のこの男(66)は、
「殺そうとしたことは間違いない」
などと容疑を認めているが、殺意を抱いた理由は判然としない。
結婚相談を断ったわけではない
犯行の経緯について地元記者はこう話す。
「前日に予約まで入れて相談所兼被害者宅を訪問しながら、結婚相談とは異なる話を始めたらしい。10数分後、経営者夫妻はそういう相談は受けられないと話し、一度はおとなしく相談所をあとにした。しかし、数分後に“忘れものをした”などとウソをついて再び相談所に戻ると、いきなりカッターナイフなどで夫妻を切りつけたようだ」
男とは初対面だったという夫婦。夫は額などに、妻は首などにそれぞれケガを負った。妻は入院したが命に別状はないという。
相談所近くに住む女性は、
「ご夫婦で事件後に“お騒がせしました”とわざわざ挨拶に来てくれました。こちらから事件についてどうのこうの聞くことは控えました。無事に退院できてよかったです」
とホッとした表情をみせた。
結婚相談がどのような話にすり替わり、男は凶行に走ったのか。周辺住民は「それはいまだにナゾ」「わからない」などと首をかしげるばかりだった。
被害男性に直接犯行の経緯をうかがうと、
「私からは話せません。ただ結婚相談を断ったわけではない」
と、いわゆる相談トラブルとは違う様子。
例えば金を貸してくれというような突拍子もない話を持ちかけられたのか。
「金? そんなことはない。どんな話かは言えません」(被害男性)
と、それ以上は語ろうとしなかった。