現在、そしてこれからの愛子さまのご動向は
両殿下が高校生活で愛子さまに体験させたかったのが、海外への短期留学だった。皇太子さまは、その年のマレーシアへの外国訪問(4月)の前の会見で、愛子さまの国際感覚についての質問に、
「今後とも、愛子にはできるだけ若いうちに国際感覚を身につけていってもらいたい」
と述べられていた。
実際に、愛子さまは高等科2年の夏、学校のサマープログラムで英国のイートンカレッジサマースクールへ短期留学をされた。ロンドンでは、同級生とイートン校の学生寮に滞在、英語教育のほかに、英国文化の体験授業としてロンドン市内や近郊の各都市も巡られた。大好きなお友達とご一緒ということもあって、3週間の留学経験は、愛子さまにとって忘れがたい、いいご経験となった。
同年の「宮内庁職員組合文化祭美術展」(宮内庁)にも、留学先で撮ったという写真を出品。皇太子さまが留学していたオックスフォード大学や英国の景色などがカメラに収められていた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、高等科の卒業式には、愛子さまおひとりで臨まれた。記者の質問にも、
「たくさんの経験ができ、また、とても楽しく、とても充実した学校生活を送ることができたと思います。お世話になった先生方やお友達、すべてに関わってくださったみなさまに、心から感謝しております」
と応えられた。
卒業式のあと、愛子さまはお友達と校舎に向かって「ありがとうございました」と声をそろえて、深々とお辞儀をなさったという。
お住いの赤坂御所に戻られた愛子さまは、両殿下に「きちんと学校にもお礼を言ってきたよ」と伝えられた。
それを聞いた両殿下は、愛子さまの学校を学習院にして本当によかったと思われたという。
愛子さまの大学の進学先がどこになるのか、早くから注目されていたが、結局は学習院大学文学部の日本語日本文学科に決まった。
2020年4月に行われる予定だった入学式はコロナ禍で中止となり、1年遅れの今年4月に行なわれた。昨年10月24日に初めて通学された愛子さまは、新入生ガイダンスに参加されたあとにお友だちと会話をなさるなど、早くも大学生活に溶け込んでいらっしゃるご様子だったという。
今年になっても大学のオンライン授業は続いていた。愛子さまのお姿は宮内庁の職員ですらあまり見かけないというほど、授業に集中される日々を過ごされているそう。
国民にとっても、愛子さまのお姿を拝見できなくなったのは残念なことだが、両陛下は、コロナ禍でみなが苦しかったり、窮屈だったりするときこそ、今ある恵まれた環境(新御所)に感謝をしながら、静かに過ごされることを大切になさっているという。
ご両親の愛子さまへの教えは、20年を迎えようとしている今でも受け継がれていた。
来年3月になるという成年皇族の会見で、愛子さまは何を語られるのだろうか──。
(取材・文/友納尚子)
※ご誕生から小学生時代までを追った【愛子さまの軌跡#1】【愛子さまの軌跡#2】もあわせてお読みください。