思い込み#5:血糖値を上げないためにべジ・ファーストを実践しています。でも、全然やせない。むしろ、量はたくさん食べているような?

→じつはミート・ファーストのほうが早く満腹感を得られて糖質中毒も抑えられる!

イラスト/高柳浩太郎

 べジ・ファーストを重視しすぎると、ダイエットに必要な栄養素が不足する恐れが。肉はたんぱく質のほか、肉に含まれる脂質も満腹感にひと役買います。

やせやすい体を手に入れるなら肉から食べよう

 血糖値の急上昇を防ぐために「野菜から食べるべジ・ファーストを実践しています」という人が結構います。しかし、べジ・ファーストで健康的にやせるかというと、じつはそうとも限りません

 とくに女性で少食の人、高齢の人は、野菜でお腹いっぱいになってしまい、肉や魚が不足しやすくなってしまう。筋肉の材料となるたんぱく質が十分にとれないため、体重だけでなく筋肉も減ってしまう場合がよくあるのです。

 べジ・ファーストとミート・ファースト、どちらが効果的か、僕の病院の患者さんでも実験してみました。各15名ずつで2週間試してみたところ、べジ・ファーストを実践したグループは、体重、血糖値とも減少しましたが、たんぱく質も減ってしまいました。

 一方、ミート・ファーストのグループは、体重、血糖値ともべジグループより減少したうえ、たんぱく質は増加。ダイエットに成功しながら、健康状態もよくなったのです。

「ミート・ファースト」は最初にたんぱく源の肉を食べ、次に野菜。最後に炭水化物という順で食べることが大切。肉のあとに野菜を食べることで腸内環境をととのえ、肉の消化、吸収をスムーズにしてくれます。

 ミート・ファーストは、糖質中毒の人や大食感の男性にも効果を発揮します。肉を最初に食べると、肉に含まれる脂質によって消化管ホルモンのインクレチンが分泌され、胃のぜんどう運動がストップ。インクレチンは脳の満腹中枢にも働きかけるので「すぐお腹いっぱい」という状態になり、食欲を感じにくくなるのです。肉は食べるときにしっかりかむので、感覚的にも満腹感を感じやすくなります。

 野菜をたくさん食べることは一見ヘルシーで健康的に感じますが、かくれ栄養失調に陥る可能性もあります。ビタミンの働きは、たんぱく質がありきであることを忘れずに!

まとめ

◎べジ・ファーストはたんぱく質不足になる場合がある
◎肉→野菜→炭水化物の順に食べる
◎ミート・ファーストは早く満腹感が得られる

 
◇    ◇    ◇

 いかがでしたか? 今回ご紹介した5つのメソッドのなかには、難しいものはありません。工藤医師もおっしゃるとおり、ダイエットを成功させるには、一にも二にもマインドチェンジ! 「もう遅い」「頑張ってもムリ」なんて諦めず、まずは1項目ずつからでも実践し、健康的な体形に近づいていきたいですね。

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著者:工藤孝文
定価:1430円(本体1300円+税10%)
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《PROFILE》
工藤孝文(くどう・たかふみ) ◎内科医・糖尿病内科医・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在、みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。メディア露出も多く、NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。著書は50冊以上。YouTube『工藤孝文のかかりつけ医チャンネル』が人気。