ホストクラブに卒業はあるのか?

──いったんハマってしまったら、ホストクラブ通いをどうやって卒業するのでしょうか。

「好きなホストが辞めたら行かなくなる子や、ある日パッタリ興味がなくなる子もいますね。“別れたよ〜”みたいな感じで。“このドラマの続きは、もう見なくていいかな”って感覚に近いのかもしれないですね

──佐々木さん自身は、いつまで通っていると思いますか?

年齢によっても、自分のメンタルによっても、いくらでも遊び方を変えられるので、なんやかんや一生通ってそうですね。同じ街、同じ『ホストクラブ』なのに、時期によって買っているものが違うということを、何十年も通して実感してみたい気持ちもあります」

──佐々木さんは著書の中で、シャンパンを入れたときに担当が話すマイクパフォーマンスについてのこだわりを書かれていましたが。

「お金をかけて、みんなが見ているなかで伝える言葉って意味があるし、パフォーマンス力も試されるので、マイクの上手いホストは好きですね。テキトーだと萎えるんですよ。逆に、一生懸命に言葉を選んで伝えてくれたりすると、すごいキュンとする。まあ、ベロベロだとあんまり覚えてないんですけどね、お互い(笑)」

──ホストクラブの楽しみのひとつは、成長にもあるのでしょうか。

「そうですね。その場限りの関係を買うなら、プロを指名すればいい。でも、店の外でのやりとりとか、関わる過程でお互いに成長していったりとか、人間関係を含めて楽しむのだったら、関係性のサブスク(サブスクリプション)みたいになってくるので、ある程度は使い続けないと難しいと思います

──著書によると、ホストクラブのインフレが激しいようですが……。

「そうなんです。かかるお金がどんどん値上がりしています。2、3年前の100万円と比べて、今の100万円は全然、価値がないと思います。“東大以外は大学じゃない”と言って自分を追い込んでいる浪人生と同じで、“少額では意味がない”と、客もホストも自分で自分の首を絞めているんですよね

めくるめくホストクラブの世界……佐々木さんの話をお聞きしていると、ついついのぞいてみたくもなってしまう 撮影:齋藤周造