何でも楽をするような生き方はしちゃいけない
──これから年齢を重ねていくために準備していることはありますか?
「身体のメンテナンスですね。特別に気をつけるっていうのはストレスだと思うので、とにかくナチュラルに身体をメンテナンスしていこうかなと。だから、ストイックに食べ物は〇〇だけとかじゃなくて、まずは気持ちの部分でストレスをためないっていうのが、一番の健康だと思って。好きなものを食べて、どうやって長生きするかを考えています。運動も、例えばゴルフが大好きなんですけど、カートに乗らないで歩いてコースを回るとか。3~4年前からは毎日ウォーキングもしていて。筋トレとかよりも、とにかく歩くっていうことかな」
──プライベートで大切にしている時間は、趣味のゴルフや釣りですか?
「そうですね、自分の好きなことをやる(笑)。で、好きなことをやるために、やらなきゃいけないこともあるんですよ。部屋を片付けるとか、掃除機をかけたりとかね。役割分担を果たさないと、怒られるから(笑)。でも、そういうことはぜんぜん苦じゃないです」
──俳優として年齢とはどう向き合っていますか?
「走るにしても、若いころは何秒で走れたのが、今はそこまで速く走れないわけだから、このシーンはちょっと危ないからとか、事前にわかることはある程度マネジャーさんとも相談したりしますよ。それから、先程も話したように、動ける身体を維持するためのメンテナンスをしておく。あとは、新聞を読んだりニュースを見たりして、今の日本の状況をざっくりでもわかっていなきゃいけないと思うし」
──頭も鍛えておくということですか?
「そうですね。人と話をするときに言葉がちゃんと出てくるようにするために。だから、丸一日インタビュー取材とかは、ものすごく嬉しいんです。疲れますけど(笑)。61歳になってこんなにたくさんの質問に対して答えるっていう経験ってなかなかできませんから、それで自分が今何を考えているのか、よくわかるんですよ」
──今、生き方で大事にされているポリシーは?
「以前、所ジョージさんとお話しをして、すごくインスパイアされたのが、“うまくいくことほど、つまらないことはない”っていう言葉で。“うまくいかないほうが楽しいじゃん!”って、もう名言ですよ。そんなことを言える人間になりたいです。その所さんの考え方が、もうステキでステキで。だから自分も、何でも楽をするような、上手くいけばいいのにな、なんて思うような生き方はしちゃいけないんだろうなと。“いろんな艱難辛苦(かんなんしんく)があったほうが楽しいじゃん”っていう生き方の人のほうが絶対に強いですもん。病気になっても“楽しいな~”と思えるような人が一番強いんですよ。だから、そんな人になりたいです」
──これからの人生をどのように生きていきたいですか?
「本当に月並みですけど、死ぬときに“ああ~楽しかったな”って言って死にたい」
──奥様にみとられたいですか?
「いや、みとりたいです。僕は、そんなに軟(やわ)じゃないですよ。絶対にみとるほうがいいですもん。だって、死ぬときの自分を妻に見せたくない。
人間は絶対に死ぬので、それが今日の帰りかもしれないし。だけど今日、一生懸命に生きていれば何の後悔もないと思うので、そうやって生きていきたいですね」
(取材・文/井ノ口裕子)
《PROFILE》
1960年10月13日。兵庫県出身。同志社大学在学中に演劇と出合い、1983年に関西の人気劇団に入団。以来、俳優のみならず、劇作家・演出家としても活躍。2001年に劇団を退団。ドラマ『トリック』シリーズや『ごくせん』シリーズなどの演技が話題になり人気を博する。今日まで、映画、テレビドラマ、舞台で、唯一無二の俳優として幅広い活躍を続けている。また、独特のキャラクターを生かしてバラエティ番組にも多数出演。現在、『それって!? 実際どうなの課』(日本テレビ系・水曜23:50~)でメインMCを務める。ドラマ『ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系・木曜22時~)に出演中。
監督:グレッグ・ティアナン、コンラッド・ヴァーノン
脚本:ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット、ベン・クイーン、スザンヌ・フォーゲル
吹替キャスト:杏、生瀬勝久、二階堂ふみ、堀江瞬、秋山竜次、京田尚子、大塚明夫、森川智之
公開:全国公開中
2021年/アメリカ/93分/原題『THE ADDAMS FAKILY 2』
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