アニマルコミュニケーターがしてはいけないこと
ペットと暮らす動物好きが生きものとしゃべれるようになると、道ゆく生きものたちともコミュニケーションを取りたくなるのは、自然な感情かもしれない。
「ワークショップではアニマルコミュニケーターの倫理も学びますが、そこでは“飼い主さんからの依頼がなければコミュニケーションをとってはいけない”と教えています。ですから普段は第六感の回線を閉じているようにしています」
もし無責任に回線を開き、コミュニケーションを取ったとしよう。生きものからのSOSを察知した場合、どうするというのか?
「その場合、だれが責任を取るのでしょう? その動物を必ず助けられるのならつながっていいんです。でも助けられないのなら、回線を開いてはいけない」
回線を閉じていても、生きものが寄ってきて甘えることはある。そんな場合であっても、心あるアニマルコミュニケーターはなでたり話しかけたりといった、誰もがよくやるコミュニケーションを取るのみだ。
「そんな場合でも、動物にはその人間が自分と話せることがちゃんとわかっています。そんなときには“ダメよ”って言って納得してもらいますけど、メッチャ話したそうな目をしていますね(笑)」
人間関係がラクになるメリットもある
人間以外の動物とコミュニケーションを可能にすることは、人と人とのコミュニケーションもいいものにしてくれるらしい。
「ヒューマンコミュニケーション・スキルとアニマルコミュニケーション・スキルはまったく別のものですが、人間関係がラクになって、過ごしやすくなることは確かです」
第六感をキャッチするアンテナのサビが落ち、直感がさえ渡ることで、相手が求めていることや言いたいことがわかるようになる。言いたいこと、自分のことを先回りするようにわかってくれる人を、悪く思う者は少ないだろう。ごく自然に、人間関係が改善されていくと言うのだ。
さらにはこんな変化もあるという。
「“仕事ができる人間になりたいと思ったら、仕事ができる人間のそばにいるようにするといい”。よくそう聞きませんか?
仕事のやり方を観察してそれをマネする。だから仕事ができるようになるというのもあるでしょうが、人間って共鳴しあうものなんです。仕事ができる人と共鳴して、自分も仕事ができるようになるんです。
これと同じことが人間関係でも起こります。嫌な人、合わない人が周りからいなくなってくれるんです。人間関係の改善については、むしろこちらのほうが一番の理由だと思います」
Shioriさんの生徒の中には、今までとはまったく違うジャンルの仕事を始めたり、転職や結婚が決まったりと、本人や周囲がよい状態に変化する実例が多いのだそう。