いちばん簡単な「雑念の消し方」

 瞑想のやり方はいろいろですが、一般的には、おおよそ、次のような流れで行います。

◆静かな場所で座る(あぐらをかいても、イスに座ってもよい)
◆目を閉じるなりしてリラックスする
◆雑念をはらって何も考えないようにする

 大切なのは、最後の「雑念をはらって何も考えないようにする」ことです。

 せっかく静かな場所で目を閉じて情報を遮断しても、明日の会議のことなんて考えていたら、瞑想になりません。

 でも、いくら何も考えないようにしようと思っても、次から次へといろいろなことが頭に浮かんできてしまうのが人間というもの。

 そこで、試してほしいのが、「止想」です。

 これは、読んで字のごとく、「思いを止める」こと。どうすればよいのかというと、何か、意味のないことに集中すればよいのです。

 例えば、ロウソクの炎を見て、それに集中する。

 例えば、吸って、吐いてという自分の呼吸に集中する。あるいは呼吸の回数を数える

 例えば、同じ言葉を何度も口にして、それに集中する。

 たったそれだけでオーケー!

 なぜなら、人間の脳は、一度にひとつのことしか考えられないようにできていると言われているからです。

 ひとつのことに集中すると、それしか考えることができず、雑念が入る余地がなくなってしまうというわけですね。

 なので、3つ目の方法「同じ言葉を何度も口にして、それに集中する」で口にする言葉は、「リンゴ」でも「ゴリラ」でも、なんでも結構! 

 唱える言葉自体ではなく、「唱える言葉に集中して、頭を空っぽにすること」が大切なのです。

 ちなみに、マインドフルネス瞑想では、「今、この瞬間の自分を観察することに集中して、雑念をなくす」というのが基本的な考え方になっています。

 もし、何か「考え」が浮かんでしまったら、「今、自分は○○を考えたな……」と、再び「自分への観察」に意識を戻す。それを繰り返すのだそうです。

 座禅を組むのは大変でも、「止想」だけなら、いつでもどこでも可能。通勤電車の中で、自分の呼吸に集中するだけでできます。

「止想」という「もっとも簡単に雑念を消す方法」。

 イライラしたときや、心配ごとで集中できないときなどにも、心を平静に戻すうえで有効なので、ぜひ、活用してみてください。

(文/西沢泰生)