肩書は気にしない。奥さま以外の家族は“無反応”
今まで、正社員やアルバイトを含め数多くの業界で働いてきた湯浅さんですが、肩書や役職などにこだわりはなかったと話します。
「ホテルを辞めて店を出すときも、親は特に何も気にしてなかったですね。一応、“弁当屋さんやるんだー”って説明したんですけど、“へぇー”くらいなもので(笑)。兄弟もそんな反応です。放任主義っていうか、とりあえず生きてればいいよ、みたいな感じですね」
テレビ番組やウェブサイトで取り上げられるようになったときに、「そんなことやってるの?」と、初めて今の仕事を認識されるほどだったそう。
ですが、店舗を勢いで借りたときには、奥さまに一切、相談しなかったため、かなり怒られたんだとか。
「仕事を辞めたかと思ったら、今度は勝手に賃貸の店舗を借りてきたんで、“あんた、何やってんの!”って怒られました。まぁ、そりゃそうですよね(笑)。当初は、お店を手伝う気はまったくなかったらしいんですけど、今は手伝ってくれるようになったのでありがたいですね」
と、笑顔で話します。
Twitterから広がっていった“人脈の輪”
お店を始めるにあたり、さまざまな企業とイベントを行っていますが、そのきっかけはTwitterからだと言います。
「人脈でどうこうしようっていうのはあまり思っていないんですけど、“あぁ、その人知ってるよ”って、いつの間にか広がっていくんですよね。あと、Twitterだとフォローしてくれた人のプロフィールとかを見て、人柄や、その人がやってることを知って“いいな!”って思ったら、すごく軽いノリで声をかけています。そしたら、“あ、じゃあやります?”って、けっこうトントン拍子で話が進むんですよね」
企業アカウントで「面白いことをやっている」と感じたアカウントには自らどんどん声をかけることが、弁当屋さんとは思えないコラボレーションを実現させる秘訣(ひけつ)のようです。
また、そこで金銭のやりとりはなく、コラボした店の商品が売れても、利益には一切なりません。「ただ楽しそうだから」「楽しそうだと、人が来てくれてお弁当を買っていってくれるから」という思いで、積極的に交流しています。
「にぎやかしなんですよね。広告費をかけていないぶん、普段は関わらないお店の人と交流してTwitterなどで発信することで、そのお店のファンにもまんぞく弁当を知ってもらえればいいなって思っています。
例えば、Twitterつながりでカプセルトイ(通称:ガチャガチャ)を僕のお店に置いてもらったんですけど、ガチャガチャが好きな人が、それ目的でなんとなく店に来たり、あとは、スポーツ好きが地元バレーボールチームのサイン入りシャツを見にフラっと来たりって感じで、不思議とファンはどんどんつながっていくんですよね」
ほかにも、コロナ禍でオープンできずにいたカレー屋さんのメニューを販売したり、地元のデザイナーさんに前掛けを作ってもらったり、魚屋さんとコラボして魚の直販をしたり、弁当のイラストを描いてもらったりなどなど、相互フォローになったアカウントで気になった人たちと、気軽にコラボをしています。
売り上げは大丈夫なんですか? という質問には、
「どうなんですかね? でも1年は続いたんで、何とかなってるんじゃないですかね」
と、あっけらかんと答えますが、最近はアルバイトも雇用するようになったとのことで、すぐに金銭面で困ることはないそうです。