メッちゃんとの出会いですべてが好転しだした

 しかし、意外なことに、ローンを背負ったことで、初めて地に足が付いた生活が始まった。そんなある日、なにげなくテレビのムツゴロウさんの番組で子猫を見ているとき、何年かぶりに笑っている自分に気づく。そうだ、猫と暮らそう!

 猫博士である先輩女性に相談すると、「猫を飼うのは40歳になってからにしなさい」と釘を刺される。理由は、猫と暮らすと他に目がいかなくなる。まだ、結婚の可能性もある年齢なので、今は相手を探しなさいと。確かに。

 40歳まで待たなくてもひとりなのはわかっていたが、40歳まで待ち、晴れてお墨付きをもらう。猫博士いわく「猫は嫁と同じで実家が大事。親にきちんとしつけられた猫はとても飼いやすいので、最初の猫は、家猫をもらいなさい」

 彼女のアドバイスは正解だった。3世代の猫が同居する友人の家から譲り受けたメッちゃんは、人懐っこく、おいたも粗相もしない全く面倒のかからない子。いつもご機嫌でしっぽをたてて歩き、雷が落ちたような大きな音で喉をゴロゴロ鳴らす。

 メッちゃんは招き猫だったようで、彼女が来てからすべてが好転しだした。泣く日はまったくなくなり、メッちゃんがいるだけで、毎日が晴れの日となった。

「猫飼っているんだって? ダメだよ、猫なんか飼っちゃ」と男性から注意されたとき、わたしは心の中で言った。

「まあ、お気の毒ね。あなたは猫をただのペットとしか見れないのね。猫はペットではなく神様からのギフトなのよ。わたしは猫と幸せに暮らすから、あなたは、あの面倒くさそうな女と一緒に暮らせばいいじゃない」

*メッちゃんとの蜜月は永遠に続くかと思われたが……第2回に続きます。