セーラーズをスタートするも約5000万円の持ち逃げ被害に

──新しい物に目がない若者たちが飛びついてきたのですね。

「そこで、セーラーズをキャラクター化してブランド展開しようとひらめいたんです。若者に人気で、まだはやりのアパレルブランドが出店していなかった渋谷か吉祥寺に出店しようと思って、ちょうどテナントを募集していた渋谷のマルイシティの裏通りにあるビルに入居したのですが、オープンしてわずか3か月後にテナントの運営会社が倒産してしまって、保証金と売上金、あわせて4680万円を持ち逃げされたんです

──いきなりのピンチですね。

「追い出されるようにテナントビルを出て、渋谷区役所やNHKのそばに9坪のお店をオープンしました。当時、みんな“セーラーズがあるのは原宿”って言っていたけれど、正確には渋谷だったんですよ。新店舗はもともと民家だったところを店舗用に立て替える必要があり、2500万円かかりました。結局、持ち逃げされて背負った負債と、新しいお店の開店資金とで、膨大な借金を抱えていました。

 運営費用も、信用金庫が800万円は貸してくれるって言うけれど、それじゃあ全然足りないので、そのお金を持って、それぞれ400万円ずつ別の銀行に預けて、それを担保にもう800万借りました。なぜだか“1600万円あればお店をキープできる”って思いましたね」

──多額の借金を背負うのは怖くなかったですか?

「怖いっていうのはなぜ? 」

──うまくいかなかったらどうしよう、とか。

その恐れのせいで、やりたいことを諦めたくはないですから。店を開くとき、すでに結婚していたので、当時の旦那さんが持っていた土地を担保に、またお金を借りちゃったくらいですからね(笑)」

──すごく前向きなのですが、人生で後悔や失敗された出来事ってありますか?

「(驚いた感じで)失敗? 何を失敗っていうの? お金をだまされたとか?? 例えばね、約5000万円を持ち逃げされたときも、私の周りで1億円ほどだまされて、騒いでいる方がいたんです。それを見て、“私は約半分の4680万円だからいいかな”って。常にプラス思考で、マイナスには考えない。暗くしていたって、誰も喜ばないからね

ご自宅の仕事場にて。デザインも発送作業も基本的にすべてひとりでこなす。さすがのバイタリティ! 撮影/渡邉智裕