「ついに心を許したか」と喜んだものの
しかし、グレは弱々しい。息をかけたら飛んでいきそうなモヘアの毛糸玉のよう。よく観察すると、子猫なのにおなかがたるんでいる。それって、やっぱり内臓が悪いのか。メッちゃんは「ミャーミャー」とお話しするように泣いたが、グレはまったく鳴かない。グレはお高いの? それとも、無口なの? 猫と言ってもひとりひとり違うことを知る。
正直、ものたりなさを感じながらも数週間がたち、ある日、ソファにごろ寝をしていると、おなかに重みを感じる。「アレ、なに? この感覚は? ついに心を許したか」と喜んでいたが、具合が悪く、心細くなって来たようだ。
メッちゃんと暮らしていたときは、平気で旅行に出かけていたが、病弱なグレはひとりにさせられないので、若い編集者の女性に泊まってもらった。申し訳なく思っていると、逆にお礼を言われてしまった。
「猫と一緒にいれて、幸せだったわ。わたしのお股(また)で寝てくれたのよ。ね、グレちゃん」
都会のワンルームマンションで暮らす女性にとり、グレとの時間はぬくもりある一夜になったようだ。しかし、マミーと一緒に寝ないのに、知らないお姉さんと寝るなんて。ちょっと嫉妬するわ。
*グレちゃんも少しずつ人間に慣れてきた模様。そして1歳の誕生日を迎えて……第4回に続きます。