実家暮らしでグレの野生が開花!

 実家には、当時87歳だった母がひとりで住んでいた。わたしは2階で生活するとはいえ同居だ。漏水から逃れられ、雨の日がこわくなくなりほっとした時間を送っていたが……日がたつにつれ、いったいわたしは何をしているの。どこへ行こうとしているの。という疑問が。

 そんなわたしの気持ちとは違い、グレは新しい世界を自分のものにしようとしていた。外の様子に興味を持ち始める。わたしがいないときは、1階にも行っているようだ。日に日にグレの冒険は範囲を広げ、庭にいて驚かされることもある。

 マンション暮らしのグレだったが、外の風景の中にいるグレを見たとき、野生を感じた。雑草をバリバリ食べるようすはライオンのようだ。猫の魅力は野生を失ってないところ。だから、いいんですよ。ツンデレでも、がぶがぶ噛んでも、だっこさせなくても。ネコ科の動物(ライオン、トラなど)は、檻の外から見るだけだが、猫は人間と一緒に暮らしてくれる。 猫と暮らすというのは、すなわちライオンのミニチュアと暮らしているようなものだ。ああ、これを幸せと言わずになんと言う。

ライオンのように雄々しいグレちゃん

 避難生活のつもりで引っ越してきた実家暮らしだったが、再び迷いが生じてきた。グレは庭のある生活が気に入っているようだが、わたしは子供のころしか一緒に暮らしたことのない母との生活が、だんだん苦痛になり始めた。

※第6回に続きます。