令和の今こそ、“無駄だけど楽しくてワクワクするもの”を
──昭和と令和のアイデアグッズの違いは何でしょうか。
大澤店長「根っこの部分は同じで、“面白い”というところは変わらないのですが、令和版は、“デザイン性があること” “実用性があること”が特徴です。また、昭和版は“役には立たないけど、見て楽しむもの”が多かったのですが、令和版は“面白いだけでなく、使えるものや癒やされるもの”にニーズがあります」
──王様のアイディアは、今年の2月にECサイトとして復活しましたが、どういう経緯があったのでしょうか?
大澤店長「もともと弊社(株式会社パートナーズ)は、いろいろなアイデア商品を作っているメーカーなんです。現代は、コスパ、効率性、利便性が求められていますが、だからこそ、むしろ“無駄だけど楽しくてワクワクするもの”が必要だと考えています。そういったユニークなものを集めたお店があってもいいのではないか、ということで、あの『王様のアイディア』を令和に復活させようということになりました」
──利用者はどういった年齢層が多いですか。
大澤店長「開店したての頃は、昔の王様のアイディアを知っている40〜50代の方々に向けて、懐かしのグッズを中心にラインアップしていたのですが、いざ蓋を開けてみると、20〜30代の方々に多くご利用いただいています」
──王様のアイディアとも連動しているサイト「アイディアステーション」では、“商品アイデアの投稿”を募集されていますね。実際に商品化はされているのでしょうか。
大澤店長「こちらのアイデアを元にノベルティ商品を作ったことはありますが、商品化はまだです。でも、これからいろいろと商品化し、販売していきたいと考えていて、現在、準備を始めています」
──日々、ユニークなものづくりをしているクリエイターさんたちを応援する「アイディアの王様」というプロジェクトも面白いですね。ここではどのような活動をされていますか。またどんな方がどのような商品を作っていらっしゃいますか。
大澤店長「王様のアイディアのコンセプトに賛同してくださっている19組のクリエイターさんたちを“アイディアの王様”として、その方々が手掛けている商品を販売しています。例えば、乙幡啓子さんの『魚ケース(さんま・あじ・ほたて)』(各1320円)は、とてもユニークなポーチです。ポーチを開くと、魚は“開きの干物”に、ほたては“バター焼き”になっています」
「最近発売になった、ミニチュアアーティストのMozuさんが手がけた『NOUTO BOOK(ノウト ブック)』(1320円)もオススメです」
「誰かが落書きをしたかのようなトリックアートがたくさん詰まったノートになっています。写真を撮ると、立体的に見えるんです」
──今後、「王様のアイディア」で目指すことは何ですか。
大澤店長「“アイデアで世の中を楽しくする”というのがコンセプトなので、面白いもの、そしてそれを作る人たちを増やしていきたいと考えています。面白いものを作っている人に焦点を当て、さらに、そういう方々に憧れを持った人たちにもアイデアを出していただき、どんどん面白い商品を作っていきたいです」
世の中に、安くて使える日用品はあふれていますが、アイデア商品には、それらとは違う“血の通った人間味(にんげんみ)”を感じます。ユニークで、誰かの役に立つアイデアが詰まった商品。そんな素敵な商品が世の中にあふれたら、使う人たちの笑顔も増えていくでしょうね。
(取材・文/加藤弓子)