当時はおしゃれ男子も読んでいた『CUTiE』
──本日は女性誌の『CUTiE』もありますね。当時は男子からの人気も高かったようで。
「『CUTiE』といえばストリートスナップの“キッズコレクション”が見どころです。女子だけじゃなく、おしゃれなメンズも載ってます。これは93年8月号です」
──ストリートスナップって全身を写すから同じ構図になりがちだけど、これはアングルに変化がありますね。コメント欄も色づけしてあったり、レイアウトがきれいです。
「90年代の雑誌には、後の有名人が載ってたりするんですよ。ストスナ目的で『CUTiE』を買っていく若者もいますね。SNSがない時代は自分を表現する場として雑誌のスナップがあったんです。そして、この頃はそれぞれの街によってファッションが違った時代です。東京と大阪ではテイストに差がありますよね」
「当時流行(はや)ったのは、古着のスニーカーをビッグサイズで履く“デカ履き”です。ビッグサイズはニーズが少ないから安いんですよ。思いっきり絞って履くとかっこいいという美学があって(笑)。僕なんか今でもめちゃめちゃでかいサイズ、31センチくらいのスニーカーを履いてます。それにしても『CUTiE』のキッズコレクションは90年代前半から見ていくと本当に面白いですね。そして、『CUTiE』にも“HFA(HIROSHI FUJIWARA ADJUSTMENT)”という藤原ヒロシ氏の連載があります」
パンクの女王、ヴィヴィアン・ウエストウッドの手によるアナーキーシャツ
──目線入りの写真がインパクト強すぎますが、この左ページで藤原氏が着ているシャツは「AFFA(※2)」ですか?
(※2)藤原ヒロシ氏と高橋盾氏が手がけるブランド。AFFAとは「Anarchy Forever Forever Anarchy」の略。オリジナルのMA-1や、マルクスやスターリンをプリントしたネルシャツ(通称:思想家ネル)などには、とんでもないプレ値(プレミアム価格)がついている。
「これは『セディショナリーズ(※3)』のオリジナルのアナーキーシャツですね。AFFAはたぶん作ってないかと。それこそセックス・ピストルズがいた時代(70年代後半)に作られた、今では美術館に飾られるレベルの逸品です」
(※3)ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンがロンドンのキングズロードにオープンさせたショップ名にしてブランド名。ショップ自体は「ワールズエンド」として現在も存続。
──なんと! 確かに記事には「今や数千ポンド」と書かれてますね。93年でその価格ですか。ちなみにセディショナリーズといえば、「ジェネラル・リサーチ」の小林節正氏(※4)もコレクターですよね。
(※4)90年代に人気を博したブランド「ジェネラル・リサーチ」のデザイナー。同ブランドの商品には赤いリボンが付属しており、それをアクセントとしてバッグなどに結びつけるのが一部で流行した。小林氏は現在「.....RESEARCH」というプロジェクトを展開している。
「そうですね。小林さんも相当なコレクターとして有名ですね。あの人もめちゃめちゃ貴重なアイテムを所持しているでしょう」