頭の中の“ラーメンデータベース”には、味も思い出もいっぱい
──なるほど~。スープ、麺、具材の組み合わせは無限だし、それぞれにトレンドがあるわけですね。そう考えると、極めがいがあるというか。掘っても掘っても終わりがない。
「そうだと思いますよ。僕の場合は仕事ですけど、ラーメンマニアの中にはただ個人的な趣味として数十年ずっとラーメン食べている方もいますからね。終わりがないからこそ、長くオタ活を楽しめるってのがありますね。
それと“食べ続けているからこそのおもしろみ”もあります」
──と、いうと?
「頭の中に“ラーメンのデータベース”ができてくると、初めて食べるラーメンでもピンとくることがあるんですよね。前に地方の何の情報もないお店で食べたとき“東京の、あのお店の味に似てるな”って思ったことがあって。それでご主人にきいたら“そこで修業してたんですよ”って」
──すごい。「修業する文化」があるラーメン店ならではのおもしろさかもしれませんね。
「そうですよね。こういう経験をするたびに、ラーメンの味の違いがわかってきた気がしてうれしいってのはありますね。
それと、サブチャンネルの『SUSURUのミッドナイトTV.』で丼顔(どんがん)クイズってのをやってるんです。ラーメンの画像をパッて出して、それがどこのお店か答えるというクイズなんですけど、僕めちゃめちゃ得意なんですよ。思い出と一緒に味のデータがたまっていくのもオタクならではの楽しみの一つです」
──ここまでラーメン情報が頭に入ってるのって、すごいことですよ。やっぱり続けるってのは偉大だと思いますね。
「食べれば食べるほど楽しくなるから続けられるんですよね。それと、これは個人的な部分でいうと、今はチャンネル登録者数が100万人超えて、ありがたいことに『SUSURU TV.』を楽しみにしてくださる方が少なからずいらっしゃいます。それで毎日食べることがちょっとした"使命"みたいになっているのもあります。
また最近は、お店側に対しての責任感も出てきたんですよ。『SUSURU TV.』に出ると“翌月の売り上げが3倍になった”とか“2時間の行列ができた”というお話も聞くようになりました。
チャンネルを始めた当初も今も“ラーメン食べるの楽しいから、みんなでもっと食べに行こう”というマインドでやっているので、これからも動画を通してラーメン好きの方が増えてくれたらうれしいですし、それがお店への貢献につながったらいいですね」
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好きなことしかできない男の「ラーメン愛」が伝わるインタビュー
SUSURUさんはびっくりするくらい謙虚な方だ。とにかく「いや、だって僕ラーメン食ってるだけっすからね」と繰り返していた。「好きでラーメンを食い続けていたら、いつの間にか超人気コンテンツになってしまった」という部分が正直なところなのだろう。
いま彼はラーメンを食べることが仕事だが、決してビジネスライクにラーメンと付き合っているわけではない。根底にまっさらなラーメンへの愛を感じる。好きなことしかできずに大学を中退しニートも経験したSUSURUさんが、2400日以上もラーメンを食べ続けているということが、その何よりの証拠だろう。決して偽っていないからこそ、私たちは見たくなってしまうのだ。
そして、あらためてラーメンという料理の奥深さを知った。個人的にもインタビュー後にラーメン店で食べたが、麺、スープ、具材のことを考えながら食べるとおもしろい。健康志向が高まっているなか、好きなラーメンを控えている人もいるかもしれない。しかし好きな食べ物を我慢することは、ある意味で不健康ともいえる。心配な人は黒ウーロン茶でも片手に、ぜひラーメンのおいしさだけでなく「おもしろさ」にも目を向けながら食べてみてはいかがだろうか。
(取材・文/ジュウ・ショ)