鳴りやまぬ拍手、ラストの曲「君にこの歌を」が感じさせた“3人のつながり”

 そして、本編ラストには、「ステージと言えば、やはり『PLAYZONE』('08年まで少年隊が主演を務めたミュージカル)のイメージ」ということで、「めぐりゆく夏」(アルバム『PLAYZONE 2000「THEME PARK」』)を選曲。《♪同じ夢をみた友よ》という歌詞は、彼らにとっても、またファンにとっても、忘れがたい日々を思い出させたことだろう。さらに、『PLAYZONE'89 Again』収録の高速ナンバー「Baby Baby Baby」を歌って、「ありがとうございました!」と爽やかに挨拶をして本編が終了。いかにも、これで終わらないという雰囲気だったが、予想どおり、すぐにアンコールに入った。

やりきった様子でステージを後にしたかと思いきや…… 撮影/佐藤靖彦

 ここで歌われたのが、'86年の1stアルバム『翔 SHONENTAI』収録の「星屑のスパンコール」と、'95年のシングル「Oh!」のカップリング曲「PGF」。どちらもシングルの表題曲ではなかったが、ファンにとっては同様に、あるいはそれ以上に大きく育てられた人気曲と言えよう。「星屑のスパンコール」は、サビの歌詞《♪もう一度アンコール もう一度アンコール》が、「今回のショーのアンコールのみならず、こんなすてきなショーをまた観たい」というファンの思いも反映したのか、涙を見せる観客も少なくなかった。続く「PGF」は、ファンも一緒に踊り出しそうなリズミカルなナンバー。ここでもふたりは、56歳と57歳とは思えない軽やかなステップを踏みつつ、大いに盛り上がりながら1回目のアンコールが終了。

時に切ないまなざしで歌い上げるふたり 撮影/佐藤靖彦
「PGF」はステージ後方から熱唱 撮影/佐藤靖彦

 拍手は鳴りやまず、2回目のアンコールが開始。スクリーンには、これまでの日々を振り返るような写真の数々が映し出される中、披露されたのが'87年のアルバム『TIME-19』より「グッバイ・カウントダウン」。出だしの《さよならのかわりに あなたの手のひらの中に 預けよう》という錦織の歌声に寂しさを感じつつ、サビの《♪さよならは愛の強さをためすブリザード~》を響かせる植草の歌声が、また逢える希望をにじませる。

 そして、本公演ラストに歌われたのが「君にこの歌を」。もともとは、'67年に初代・ジャニーズが歌い、'69年にフォーリーブスの歌唱にてレコード化、さらに、たのきんトリオや少年隊もカバーしてきたストレートな友情ソングだ。錦織は「30代で歌ったが、そのころよりも、さらに好きになった曲」として選曲の理由を語った。

 ちなみに本作は、'21年11月に開かれた『服部克久メモリアルコンサート』にて東山紀之も歌っており、筆者には、この歌で3人がつながっているようにも感じられた

3人のつながりを感じさせながら、舞台はついに終演へ 撮影/佐藤靖彦

《♪君はうたいつつ あるきはじめてくれ 君がうたう時 君がうたう時 僕も共に歌う》

 そんな楽曲のメッセージにファンも大いに共感したのか、拍手は本当にまったく鳴りやまず(「以上をもって本公演は終了しました」という場内アナウンスをいくら大きくしても)、それに応えるかたちで、着替えをすませたふたりが出てくるほどだった。

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