それぞれの人が共感できる珠玉のお言葉

 誕生日の文書回答では、その折々の社会情勢について美智子さまの視点からの言及もありました。

◎複雑な問題を直ちに結論に導けない時、その複雑さに耐え、問題を担い続けていく忍耐と持久力をもつ社会であって欲しい

 このお言葉を誕生日の文書回答で綴られたのは1997年。それから25年がたち、スマホやSNSの普及によってある意味、安易に答えを見つけられる時代になりました。それは一方で社会の分断や対立と背中合わせだともいえます。国際情勢や政治、経済問題だけでなく身の回りに起こる出来事もその内実は複雑なもの。だからこそ我慢強く問題の解決にあたりましょう、答えを出すプロセスこそ大切なのです、と美智子さまは説いているのではないでしょうか。

1969年8月、長野県の梨園で 撮影/週刊女性

 最後に紹介したいのは、美智子さま46歳の誕生日会見(1980年10月)でのお言葉です。

◎誰もが弱い自分というものを恥ずかしく思いながら、それでも絶望しないで生きている。そうした姿をお互いに認め合いながら、懐かしみ合い、励まし合っていくことができれば

 このお言葉の前段で「人はひとりひとり自分の人生を生きているのであって、他人がそれを十分に理解したり、手助けしたりできない部分を芯(しん)に持って生活していると思います」と語られています。相手への気配りを第一に考える美智子さまの人生哲学に裏打ちされた、奥深いお言葉。人それぞれ、いろいろな味わい方ができるでしょう。

1966年9月、大分県別府市で 撮影/週刊女性

(文/fumufumu news編集部)