入学時の自分は「空っぽ」、ここでも夢から逃げていた

 大学に入ってからはずっと、「京大に入れなかった」「アイドルにもなれない」「何が楽しくて生きてるんだっけ」この3つの感情がぐるぐるしていた。可愛いのピークも、すでに過ぎている気がした。

高校2年生のころ、自分がいちばん可愛かったと思う時期の1枚 

 これから先、アイドルでも京大生でもない人生をどうやって生きていいのかわからなかった。20年近く、京大に入ってアイドルになるということしか考えてこなかったせいで、ほかの趣味も興味も経験も何もなかった。あまりにも自分が空っぽすぎて、苦しすぎて、食べられなくなった。

 でも“まじめ癖”はやめられなくて、学校にはなんとか通い続けていた。毎日、どう考えてもおかしい骨みたいな姿で、気がついたら眠ってしまう回っていない頭で授業を受け、スーパーで食べ物を見ても何を買っていいかわからなくて、1日をうどん半玉で過ごしていた。

うどん半玉で過ごしていたころ。おなか周りがだいぶ薄い

 このままではいけないと思い、大学4年間をかけて必死に、自分が興味のありそうなものを探したり、好き・嫌いの感情を取り戻す作業をした。

 ただ結局、自分の興味の対象はアイドルばかりで、アイドルのコピーダンスサークルに入ったり、アイドルカフェで働いてみるなどした。

 でも、「アイドルは可愛らしい女の子がやることで、大人っぽい顔の私は無理」「“そこそこ高学歴”なのは、お客さんにとって抵抗感につながる」などマイナスなことばかり浮かんできた。ここでも結局、自分の夢から逃げ続けていた。